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黒い欲望
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コツン…と靴の音がしたのだ。
部屋に入って来る足音――
瞬間、空気が一気に黒く淀んだ気がした。
タケルはすぐに記憶を頼りにベッド側から壁伝いに床に降りると、そのまま手探りで部屋の扉へと向かおうとした。だが――
その足が不意に止まる。
全身にじっとり汗を滲ませ、真っ暗闇の中ゆっくりと顔を上げるタケル。
と同時に、すぐ目の前で男の息づかい――
そしてタケルは逃げる間もなく、ものすごい力で壁に押さえつけられたのだった。
「…うっ…」
背中を強打し、苦痛に呻く。
暗闇で何も見えないのに、そこにはいやらしく笑う男の顔が想像出来た。
それは――もちろん高支那ではない。
空気も、気配も、吐息も、笑みも、タケルを押さえつける力も、手触りも、何もかも、全てが高支那とは違う。
なぜだかタケルは確信した。
「離せっ!」
この時初めてタケルは声を上げ、激しく抵抗したのだった。
しかし男の力は圧倒的に強く、タケルを離そうとはしなかった。
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