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崩壊
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扉の向こうからは何も聞こえては来なかった。
あれだけ揺れていた城も、気づくと今はシン…と静まり返っている。
あの時の激しさが嘘のようだ。
それとも、あの揺れもまた、虚像だったのだろうか――
混乱する中、不安だけが募る。
「高支那っ!!!そこにいるんだろっ!!!」
タケルは扉を荒々しく叩く。
――が、やはり返事はない。
辺りが――
暗闇を照らす冴えた月の明かりが、深い森と谷間と湖の静けさを一層不気味に際立たせた。
タケルはただ、その場に佇むしかなかった。
そしてどれぐらいの時が経ったのだろう。
多分、数分ぐらいなのだろうが、タケルには途方もなく長く感じられた、その時…
不意に――扉が開いた。
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