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崩壊
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高支那を逃がすまいとしがみつく。
「ここを出るならあんたと一緒にだ!」
タケルは強く言い切った。
しかし何も言わない高支那に不安を覚えたのか、その表情を食い入るように見つめる。
高支那はまったく感情を表に出さなかった。
タケルを押し退けると、相変わらず無表情で淡々と告げる。
「とにかく着ろ」
防寒着を拾い上げ、タケルに手渡す。
あまりに落ち着いた高支那に違和感を覚えつつも、確かにこのままでは凍えてしまうため、言われるままそれを身につける。
見ればあちこちに窓ガラスや装飾品など、あらゆるものが床に散乱しており、さっきの揺れが幻影ではなかったのだと思い知る。
ならば、なぜその揺れがいきなり起こり、いきなり静まったのかーー
やはり高支那の叔父と関係があるのかーー
嫌な予感を感じながらも、タケルは高支那を急かす。
「早くここを出よう」
高支那は叔父を残しては行けないと言った。
だがタケルにとっても、高支那を残して行くことなど絶対に出来なかった。
ただーー
タケルはまだ知らない。高支那の瞳に覚悟の色が滲んでいたことをーー
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