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火薬
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1日の始まり、開房点検だ。
今日から相方となったナンバーと共に囚人たちの房へ向かう。
担当の囚人たちの房がある建物の大きな扉をあけてすぐのことだった。
歩きながら、彼は口を開いた、
「匂いがする、火薬…かな、
たぶん14番の房、気をつけて」
「…え」
次々に囚人たちの点検をしていく、次が14番の囚人だ。
「ボクが房に入る、キミは入口の前にいて」
「大丈夫なんですか」
「うん」
言われたように、房の入口付近で待つ。
彼は布団をかぶったままの囚人14番に近づいていく。
「14番、起床時間とっくに過ぎてるよ、早く起きてくれないと困るなー」
そう言いながら彼は腰に下げているポーチから何かを取り出している。
片方の手で取り出したものを持ち、もう片方の手で布団の端を掴み、はがすと同時に…
ジョボジョボジョボジョボ…
彼はペットボトルに入った飲料水を逆さまにして、寝転がっている囚人にかけたのだ。
囚人の手には…紙に包まれた筒、爆弾だろうか、これが彼が言っていた火薬の匂いの元だろう。
それと囚人のもう片方の手にはライターが握られていた。
驚いた、火薬を持っていることをこの建物の入口付近から察知した、彼の視覚以外の4感が普通ではないことは本当だと信じざるを得ない。
「目ェ覚めた?」
彼は普段の調子で言う。
目覚めた?だなんて、この囚人はもともと起きていたはずだ。看守が近づいてきたところで起爆させるつもりだったのだろうか、道連れ自殺が目的というところか。
彼がいなくて、自分だけだったら爆破されていただろうか、きっと周囲の部屋の囚人達にも被害が及んでいただろう。
考えるとゾッとする…。
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