アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
泥棒猫
-
これでやっと落ち着けると思ったのも束の間、また事件だった。
パンダ事件の犯人、半田が懲罰房に入れられた翌日。
午前0時過ぎ。
今日の仕事が全て終わりベッドに入ろうとしたところ、スマホが鳴った。
囚人房A棟付近に侵入者、二人ともすぐに来い、とのことだ。
自分より早くベッドに入り眠りについたばかりの相方を起こす。
着替えている時間はなさそうなので使い捨てのマスクをつけ上着を羽織り、
まだ寝ぼけ眼の彼に、飛びますよ、と一言声をかけ、囚人房A棟の入口前にテレポートする。
「場所、わかりそうですか」
「今2階、階段前、あ、降りてくる」
「行きますよ」
「あ、待って、ボクが前に出ていくから、アカネは後ろからテレポートで…」
「分かりました、気をつけて」
彼は静かに頷くと、入口を入り、階段の方へ歩いていく。
自分も後ろから、相手に見られないようについて行く。
「げっ!!もう見つかっちった!!!!」
「侵入者!止まれ!」
薄暗いせいでよく見えないが、侵入者は明るい色の長い髪、背がナンバーよりも低い、子供、女の子にも見えるが、声を聞く限りは男のようだ。
ナンバーに見つかったことに気がついた侵入者は、逃げるのかと思いきやナンバーに向かっていく。
この刑務所に易々と侵入してきたということは、相当な能力者である可能性が高い、危険だ。
殴りかかろうとするところの背後を狙ってテレポートし、男の腕を掴む。
「ッ!!?後ろにはいなかったはずじゃっ!?」
戸惑っている隙に、予備で持っていた普段囚人達の腕につけさせている能力を封じる腕輪を、男の腕にテレポートさせる。
その瞬間反対の腕の拳が飛んでくる。
避けられない!
そう思った時、相方がその拳を止めてくれた。
「なんで!?なんで力が出せないんだッ!!!」
「大人しくしろ」
侵入者の反対側の腕を掴んだままの相方が冷静に告げた。
侵入者を調査棟に連れていく途中、侵入者が口を開いた。
「困る、ここで俺が捕まったらヤバいんだよ!離してくれ、この刑務所が危ないんだ」
「何言ってるんだ…」
相方は呆れた声で言う。
「お前、ナンバーだよな、虎子から聞いたよ」
相方の顔色は一瞬で真っ青に変わり、足を止めた。
「……どういうことだ…?虎子の知り合い?」
「虎子の仲間だ。
脅すようなことは俺好きじゃねーんだけど、協力してくれよ、虎子が言ってた、ナンバーの命にも関わることだからって」
「詳しく教えて、なるべく小声で、
アカネごめん、少し前を歩いてくれる?」
突然の事でどうしたらいいか分からない。
「…大丈夫、なんですか」
「うん、ボクは大丈夫、ごめん」
彼は俯いたまま言った。
従っていい事なのか、彼はいけないことをしようとしてるのではないか、そんな気がしてならないが、とりあえず言われた通りに彼の10mくらい前を歩く。
喋っている内容は全く聞こえない。
この刑務所が危ない?ナンバーの命にも関わる?
どういうことだかさっぱりわからない。
自分はどうするべきなのか……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 26