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歌姫
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「おはよー、べーたくん」
「おはヨう」
「ねえ、ぼくがねてるあいだに、猫太こなかった?」
「ふわふワの?」
「ううん、猫太、ベーたくんと似た金色の髪で、でもべーたくんよりながーいの」
「?だれも、キてない」
「そっかー」
約束の日、すぎちゃったと思うんだけど、猫太むかえにこないなぁ。
そんなことより、おなかすきすぎてしにそうだよ…
こんなにおなかをすかせるなんて、拷問?
あれ?あそこに、おいしそうな、おいしそうな
パンがある…
まって、パン、ぼくはパンがたべたいんだ......
つかまえた!
「いダああああぁっ!」
あれ、これあじがしない、パンじゃない。
あ、これべーたくんの腕だ。
「いたイ…」
せいいっぱいの謝罪をする。
「ごめんね…ごめんね…」
少しぼくの歯のあとがついちゃったので、なでなでしてあげる。
これですこしはよくなったかな?
「べーたくん、あそぼう」
あそんだら痛いのが少しでもまぎらわせるかもしれないし。
なによりひまだし。
「あソぶ?」
「うたおう」
「うたう?」
大きく息を吸い込んで、声を出す。
「あ゛ーーーあ゛ーーゔーあ゛ーーー」
「..............」
べーたくんは黙ったままじっと見ている。
一緒にうたってくれないのかな、と思いながら続けてうたう。
「ゔーーーあ゛ぁあ゛ーーーえ゛ーあ゛ーーーーーゔーーーゔーーあ゛ーーーーーー
あ゛ーーーえ゛ぇえ゛ーーーーーーゔゔーあ゛ーーーーあ゛ーーーーあ゛ーーーぁぁあ゛ーーーーーーー
ゔーーーあ゛ぁあ゛ーーーえ゛ーあ゛ーーーーーゔーーーゔーーあ゛ーーーーーー
あ゛ーーーえ゛ぇえ゛ーーーーーーゔゔーあ゛ーーーーあ゛ーーーーあ゛ーーーぁぁあ゛ーーーーーーー
あ゛あ゛ゔーーーーーーゔーーーーゔーーーーーゔゔーーーー
あ゛ーーーーーーーえ゛ーーーゔーーーーーーーーーー」
「うるさーーーーい!!!!!!!!!」
ぼくが夢中でうたっていると、すぐよこから大きな声があたまにがつんと響いてきた。
すぐよこにいたのはべーたくんじゃなくて知らない女の子だった。
初めて見た、うすむらさきいろの髪、しっぽみたいに長く、2本のびている。
「.......キミだれ?」
「へっへーん、聞いて驚け!
我こそは月影の歌姫、ワカちゃんだぞ!」
どや顔である。
ものすごいどや顔だ。こういうのをどや顔と呼ぶんだということを前にゲコ太から教わった。
そのときは、猫太がこんな顔をしていた。
「ワカちゃん?そっか、キミもここに入れられたんだね。ぼくはぱんだだよ、よろしくね」
「違う!!!ワカは自分で入ってきたの!」
「なんで??こんなおなかいっぱいごはん食べれないところに入ってきたの?」
「ワカは自分で出られるからご飯も食べられるんですー」
「えー、いいなぁ」
すっかりへっこんでしまったおなかをみる。
「ご飯、食べたい?」
「たべたい!」
今日いちばんの、げんきな声。
「じゃあ食べさせてあげるから、ワカについてきなさい!」
「はーい!」
ご飯が食べれる。わくわく。
「キミも、いっしょにくるよね?」
女の子は、べーたくんに話しかけてるようだった。
「べーたくん、ごはんたべにいこうよ」
そういいながら、べーたくんの手をにぎった。
「ウん」
こうして3人はうすぐらくてたいくつでごはんがいっぱいたべられない懲罰房をあとにしたのでした。
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