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11-① 噂
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❁
あれから何日経っただろうか。
いや、1ヶ月くらい経ったかもしれない。
それも分からないくらい俺は憔悴していた。
憔悴……は言い過ぎかもしれないが、まぁ疲労困憊で元気マイナス100%ってとこだ。
実影とは蓮南とのあの事件から何となく気まずくなってしまった。
というか、単に俺が1人でそわそわしているだけなのだが。
それでも実影は何も聞いてこないし何も言ってこない。
忙しさも相まってすれ違いの日々。
そして事件の当事者。
蓮南は護衛の為、近くにはいるものの話しかけては来なくなった。
俺の方もまだ気まずさと恥ずかしさがあって、意識的に蓮南のことを避けている。
「……なぁ。太陽くん。蓮南くんと早く仲直りしたらええんやない?」
「あ?……あぁ。あいつが話しかけてくるまで俺は待つだけだ。」
話しかけてきたのは名前すら知らないクラスメイト。
最近よく話しかけてくる奴だが別に興味はない。
入学してからほぼ蓮南としか関わりを持たずに過ごしてきた俺は、夏休みを前にして既に居場所をなくしていた。
クラスメイト達は俺たちが喧嘩したと思っている。
蓮南がそう言ったからだ。
そっちの方がまだ都合がいい。
あいつと関わらなくても不自然に思われない。
でもすぐに仲直りするだろうと周りは思っている。
俺だって落ち着いたらちゃんと元に戻りたい、戻したいと思っている。
蓮南が何を考えているのかはわからないが、とにかくこのままではいけないのは確かだ。
「太陽くーん。おーい?」
「………。」
「そういや噂の蓮南くんさぁ。
最近彼女できたみたいやで〜。」
「……。え。」
「おっ?やっぱり気になるんか!」
このよく知りもしない金髪野郎はもちろん無視するつもりだったのだが、その言葉に俺は簡単に食いついた。
あの蓮南に彼女……本当なのか?
多少の疑いはあるがただのクラスメイトですら知っている情報ならきっと事実なのだろう。
少しだけチクリと胸が傷んだ。
今はもう遠い存在のようにも感じている蓮南。
あいつの数少ない情報に耳を傾けてしまうのは、
友達として 至って普通で仕方のないことだと思う。
「僕ら男子校やん?友達多くないと彼女なんて出来ひんよな〜。ね、太陽くん合コンせぇへん?」
「合コンって……大学生かよ。俺は恋人いるから勘弁。」
「あ……前の噂って本当やったんや!童貞卒業おめでとう!」
「してねぇよ。アホか。」
きっと簡単に彼女作ったんだろうな。
さすが蓮南だ。
あいつらしい。
コミュ力高いし、見た目だってまぁまぁかっこいいしチビだけど優しいし……。
チビだけど……な。
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