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11-③ 拉致
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そして放課後。
今日はいつもとちょっと違う。
英治の送迎はいつも通りなのだが、問題は俺の隣。
今日は、蓮南がいる。
どうやら実影に直接用事があるらしい。
しーんとした車内の空気に耐えきれず俺はたぬき寝入り。
俺の様子を英治が不思議に思っているのは視線でわかった。
もちろんのこと、英治は俺に盗聴器など仕掛けていない。
俺はあの事件のことを誰にも話していないのだからバレるはずがない。
というか、絶対にバレてはいけないのだ。
さっさと2人で話し合って仲直りしたいところだが、なかなか2人きりになれないでいる。
何とも歯痒い。
蓮南が休み時間も昼休みも絶対に誰かと一緒にいるから。どうも話しかけづらい。
というか一方的に奴らが蓮南にまとわりついているって感じだ。
いわゆる取り巻きってやつ。
でも、今日の俺はひと味違う。
こういう時のためにきちんと作戦を練っておいたのだ。
「坊ちゃん。着きましたよ?」
「……おう。」
いつも通りを装って。
蓮南より後に車から出る。
俺の作戦はこうだ。
実影との話が終わったあとから蓮南が自宅に戻るまでの間。
蓮南は確実に1人になる。
いつものクラスメイト達はいないし、こいつには護衛もつかない。
俺と蓮南だけの空間を作れる絶好のチャンスなのだ。
この時を狙って蓮南を拉致する。
お互いにストーカー等がいなければ、の話だが。
「よし、あの部屋に入ったな……。」
残念だが俺にはストーカーではないが通常時でも2人ほど護衛がついている。
「あ、出てきた。誰もいないな。よし。」
もちろんこいつらにも話を聞かれてはいけない。
ならどうするか。
「はすなっ!」
「たっ……太陽くん!?え、えと。どうしたの?」
「こっちへ来い。命令だ。」
「えっ!ちょっと!なに!?」
実影との用事が終わり、部屋から出てきて靴を履いたばかりの蓮南の手をつかみ歩き出す。
そう、あそこなら誰にも邪魔されないし話を聞かれる心配もない。
我ながら良いアイディアだなと感心する。
思わず顔がにやけた。
戸惑う蓮南を無視して俺は目的の場所へと向かった。
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