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12-① ライオンのお出迎え
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久しぶりに遅くなった帰宅。
ただいまと玄関の扉を開けると実影がそこで待っていた。
仁王立ちで。
「太陽くん、どこ行ってたの?」
睨みつけている自覚はなさそうだが細くしている目の感じからそう見えてしまう。
ヤクザ顔じゃないとはいえやはりボス様の威圧感はハンパなく怖い。
後ろでちらりと覗いてるだけのりんがビビるくらいにだ。
「蓮南とカラオケ。」
「あ、蓮南と?……なんだ。蓮南が一緒だったなら良かった。心配したよ。」
「ごめん。」
素直に謝れば目尻がふにゃりと下がった。
ついさっきまでは厳ついライオンだったのに、今はかわいい子犬みたいだ。
「夕飯は食べてきたか?」
「食べてない。お腹空いた。」
「ふふっ。そっか。じゃあ僕と一緒に食べよう。今日もあっちから美味しそうな匂いがしてるよ。」
「おう。見てきていい?」
「いいよ。いってらっしゃい。」
俺はキッチンへと向かうべく廊下を小走りしていると、さっきまで居間から覗いていたりんが後ろからついてきた。
「太陽さーん!カバンは俺に預けてくださいっす!」
「あ、ほい!」
「ちょっ!あぶなっ!」
後ろを見ずに当てずっぽうで投げたカバン。
見事キャッチしたみたいだ。
りんはそれから俺を追いかけるのをやめて廊下からさっと消えた。
たぶん実影の部屋まで置きに行ったのだろう。
「あーいい匂い……。カレーかな?」
カレーといえば、親父がいた頃。
俺が入院からの一時帰宅で、久々に自宅へ戻ってきた日の夕食がそれだった。
フルーツポンチとサラダを添えて。
学校に通えない俺のために、普通の給食を目指したらしい献立。喜ぶ俺の姿を見て親父は笑っていた。
懐かしい記憶。
「坊ちゃん、おかえりなさいませ。」
「ただいま〜。」
キッチンを眺めていると後ろから呼ばれた。
英治だな。
振り向かずそのまま作業を見ることに集中する俺を英治はパシャリとカメラに収めていた。
「何撮ってんだよ。恥ずかしいだろ。」
「坊ちゃんの成長記録ですよ。私にとってはとても大事なことです。」
「はいはいそうかそうか〜。今度英治も写真撮ってあげる。」
「私は結構です。坊ちゃんのお写真のように可愛く写れませんから。」
「別に可愛さは求めてねーよ。」
ならば一緒に撮りましょうとなぜかツーショットを撮り、そろそろ夕食の時間だとそのまま食事会場まで連行された。
どうやら俺を連行するために英治は来たらしい。
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