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『そこまでだ、黒耀(こくよう)』
低いその声に反応して、天狗の面の少年が花麗の体をはね飛ばした。
「うぅ…ッ。」
「花麗!!」
側に駆け寄ろうとしたが、二人の土地神が間に入った。
白夜は花麗の唇に、剛祈は噛みつかれた傷口にそれぞれキスをした。
次第に出血は止まり、傷口も塞がっていく。
『黒耀よ、何という事をしてくれた。』
低いその声の主もまた、金属製だろうか、天狗の面を着けた初老の男だった。
『白夜殿、剛祈殿、その人間にも、我が一族の者が迷惑を掛けた。』
『天狗の長よ、傷は浅い。一眠りすれば良くなろう。』
『寛大な心に感謝する。──黒耀よ、お前は禁忌を犯した。…この意味は分かるな?』
面の奥から鋭い眼光で睨まれているのが分かる。少年は恐怖で怯えていた。
長は少年の面に手を付け、小声で呪文のようなものを唱えていた。途端に、バキンッと乾いた音がして、少年の面は修復が出来ないほどに粉々に割れていた。
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