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友人
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新入生代表の挨拶も無事に終えて、教室へと向かう列で、隣の子に話しかけられた。タツクとと言うらしい彼は、僕に対してとても友好的だった。彼なら、友達にするのに丁度いいだろう。
まだ右も左も分からないこの状況で話しかける積極性。不快感を与えない話し方。今までの経験上、彼のような生徒はクラスのリーダータイプと言っていい。
「タツク君はバスケットボールが好きなんだね」
小学校の時からやっていたと言う彼、とても楽しそうに語る。こう言う分かりやすい情報は何よりもありがたい。
「じゃあ、部活はバスケ部に?」
その問いは地雷だったらしい。彼の眉がピクリと動いた。作ったような笑顔で「まだ考え中かな」なんて取り繕ってたけど、この話題は気を付けておかなければ。
教室で席は微妙に離れてしまったけど、彼以外にも話し相手は何人か出来た。
新入生代表なんて堅苦しいことをした僕が明るく輪を作れば、彼らにとってとても価値のある存在になれるだろう。まず、共通の話題を見つけ、話し、懐に徐々に入り込む。
そしてその過程でグループにおける役割まで決めてしまうのだ。僕は頭いいけど少し抜けたところのあるいいヤツと言うポジション。クラスで一番人気が出る予定のタツク君といる事で、自然と僕の株も上がる。僕が気をつける事は、程よく正しくいる事だけ。あとは周りが勝手にやってくれるだろう。
簡単な挨拶も終わり、すぐに下校時間。僕はそれ以上深追いはせずに、家に帰った。理由は「今日は家族と食事に行くことになってて」とか適当に。
そうして誰もいない静かな家の中に入ってダンボールを片付ける。作品も、今度は飾りたいな。
一つ手にとって、初めて作った時のことを思い出し、興奮する。バレたら終わってしまう。けれども、その全てが最上級のスパイスに変わって、病みつきになって止まらない。
やっぱり、これをやめるなんて無理だ。
脳裏によぎるのは今朝の猫。
いや、ダメだ。飼い主がいるのだから。
バレたらどうしようと言う背徳感はあっても、実際にバレるわけにはいかない。……そうだ。兄さんにだってバレるかもしれないのだから、しばらくはしまっておこう。
「大丈夫、すぐに兄さんも受け入れてくれるから、その時までおやすみ」
頭の部分を優しく撫で「クロエ」と呼びかけた。
当然、返事はない。
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