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それでも最初は耐えていた。
だが、いつまで経っても何処かへ向く気配すら感じさせないその視線に完全に集中力を失った俺は、とうとう自ら口を開いたのだった。
「……なんだ。」
俺を凝視していた法月はパッと視線を外し、
まるで何もなかったかのように自身のディスプレイと向き合う。
が、また暫くするとビームでも出そうな勢いで浴びせられる視線。
直接目で確かめてはいないものの、
痛いほどに伝わってくるそれに息苦しさすら覚える。
「……チッ。だから何なんだよ。」
「あ、見てたのばれましたか?」
バレバレなんだよ。
むしろあれだけガン見しておいて
俺が気付かないでも思ったか。
俺はそんなに抜けているアホちんに見えるのか?
そこまで舐められる見た目はしていないと思うんだが。
他人の考えというのは本当にわからない。
知りたいとも思わないがな。
「ふふ、だって…今日の竹内さん本当かっこいいんですもん。
ほら、あのお姉さんもチラチラ竹内さんの事見てますよ。」
あー、あの…入社して間もないのはわかるんだがな、法月。
同部署の社員くらいは名前を覚えてやれ。苗字だけでもいいから。
やれやれとため息をつきながらも、つい法月が指差した女性社員に目を向けた。
が、一瞬交わった瞳は直ぐに窓の外へと移される。何だこの気持ち。告白もしていないのに振られたようないたたまれなさ。
どうせ彼女も、俺には興味の欠片もないじゃないか。
たまたま此方を見ていただけだろうに、自分の事を棚上げして話を逸らすのは良くないぞ。
それにしても、だ。
いつもは余程仕事で必要な事でもない限り話しかけてこなかった法月が、今日はやけに良く喋る。
これもマスク効果が絶大である事を証明する一つの例か。
やはり天気が悪くても、純白の相棒は欠かせないな。
「んー、竹内さん。」
「…今度はなんだ。」
やけに爽やかな…いや、むしろ胡散臭さすら感じる笑顔で頬に人差し指を当て、小首を傾げた法月は
衝撃の言葉を放つ。
「メガネかけていてもマスクを曇らせない簡単な方法、お教えしましょうか?」
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