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「お前…よく朝も早くから焼肉弁当が食えるな。」
しかも冷たい奴。
時刻は朝の10時少し前。
普段仕事へ行くには確実に遅刻だが、休日としては早すぎる起床時間だ。
残念な事に電気は復旧していない。
が、外を見ればすっかり雨も上がり、透き通った青い空が広がっている。
あの後起こす訳にはいかないというか、バレてたまるもんかというアホらしいプライドによって、現在俺の下半身は過去最高に気持ちが悪くて仕方ない。
「全然平気っスよ!竹内さんも焼き鳥食います?硬いと思うスけど。」
「…いや、俺はいいよ。シャワー浴びてくる。」
「シャワーっスか?」
「……あぁ。」
「何でっスか?」
「………朝浴びなきゃ気が済まないからだ。」
「ふ~ん?」
何となくいつもより多めに突っかかってくる佐々木を不思議に思いつつ、頭を掻いた。
念の為白いガビガビがシミになっていないかと下腹部を確認するが、見た目にはわからない……と、思う。
さて、先程俺はいつもよりなんて言ったのだが、いつもなんてものは俺たちの間にそもそも存在すらしていなかった。
これが共に過ごした初めての朝、そして初めての食事なのだ。
佐々木少年、実は寝起きは良くても少し面倒な性格をしていたのだな。
こんな朝っぱらから誰かと会話をしたのはいつぶりだろう。
昨日散々だったお陰で寝不足だし、休日なのに早起きだし。目の前で塩カルビ弁当をむしゃむしゃと食っているこのガキに文句をつけてやりたい気持ちも大いにあるが──。
ここは大目に見てやるとしよう。
目覚めがこんなに虚しくないも久しぶりだからな。
「昨日は…良く眠れたか?」
「めちゃめちゃ快眠でしたよ。いい夢みれたんで!」
いい夢か……。
俺が身体を張って見せてやったいい夢、な。
このエロガキ。
「それは良かったな。」
勿論嫌味だ。
踵を返して部屋を出る間際、焼肉を貪る彼の口元がニヤリと笑ったように見えたのは…きっと気のせいだ。
もぐもぐもぐもぐと常に口が動いているんだから、そんな風に見える事もあるだろう。
「俺も一緒に入りたかったなー!」
馬鹿げたことを言っている佐々木の大きな独り言は軽やかに無視して扉を閉めた。
土曜の朝からおっさんと風呂に入りたい男子高校生が居てたまるもんか。
箸を持っていたあの手、肉を頬張っていたあの唇から吐かれた息。思い出さない方が無理だ…。
過ぎった昨夜の感触が、また腰を疼かせる。
布越しでもわかったのは
熱くて、硬くて、多分俺のよりずっと大きくて、太くて──。
思わず想像してしまい、強く自分の頬を叩いた。
これは何かの間違いだ。
そう、あまりに混乱したせいで、記憶に強く残っているだけ。
明日になれば忘れるし、3日も経てば佐々木の顔を見ても何にも思い出さなくなる。
大丈夫……だよ、な。
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