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「やー、ラーメン食いたいっスわ!ラーメン!」
「はぁ?」
運転中なんて事はそっちのけで、思わず佐々木の方を向く。
前に車が居なかったのが救いだ。後ろの奴は…まあ、すまん。
いや、だってこいつ…さっき焼肉弁当食ったところだぞ。俺だって流石にまだボケてはないから、記憶違いではない。冷えてもいない常温の硬い肉を美味そうに…しかも結構立派なサイズのだ。
え、おい、マジか…。
その細い身体の何処に無限の胃袋を隠し持っているんだ。
フードファイターかお前は。もしくはアレか。4つくらいあるのか、牛か?
「っははは!竹内さん驚きすぎっしょ!目ぇくりんくりんで可愛いっス写真撮っていいスか?」
「おいふざけるな。」
いつの間に充電器を挿したのか、復活したらしいスマホがカシャっと軽快な音を鳴らした。
慌てて佐々木の右手ごと手で覆ったものの、何となく遅かった…気がする。
現に、佐々木は画面を見て満足そうに微笑んでいる。
……いったい何が楽しいんだか。脅迫にでも使うつもりか?
誘拐犯の顔面ですとでも言ってSNSにアップされる……とか?
くっ、社会的抹殺はもう少し待ってもらいたい。俺だってまだ働き盛りの20代のリーマンだ。
「……ら、ららラーメン。ラーメンだな。うまい所に連れて行ってやる。」
だから晒さないでくれ…
と、そう言いかけた瞬間、
佐々木がやったー!!とか言って大きな声を出すものだから、その言葉は喉の奥から出て来ることは無かった。驚きすぎて息が止まったわ。
「だって竹内さん、昨日の夜からタルト以外食ってないじゃないっスか。」
赤信号で車を停止。ちらりと横目に佐々木を見れば、当然のように目が合う。
「……見過ぎだ。」
「っへへ。」
街へと近づけば、やはり電気は復旧していた。
これなら職場近くのいつものラーメン屋も問題なく営業しているだろう。
時計を見れば11時を少し過ぎている。
よし、もう店は開いているはず。
ほんの少しだけスピードを上げて、俺と佐々木の乗る車はラーメン屋に向かい走り出した。
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