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「お前は…男が好きなのか?」
数刻の沈黙の後、ようやく口から出た言葉はそんな身も蓋もないものだった。
だって突然、そんなの…。
誰だって返答に困るだろう。
そういえば、嵐による停電やそれ故のトラブルなんかが重なりすっかり忘れていたが、俺自身もつい先日男に告白されたところだったんだ。
ふと思い出した出来事は、今まで歩んできた人生の中でも5本の指に入る奇怪なもの。
まさか、まだ身近に居たとは驚きだ。
俺の思っているほど、そういった感情を同性に抱く人物というのは珍しくないのかもしれない。
もしも佐々木がそのクチであるのなら、俺一人の意見でどうこう発言するよりも法月に相談を持ち掛けてみるのもアリだな。
いつも世話になっている彼だからこそ、是非力なってやりたいと思う。
──いや、それだと俺を好いているらしい法月に失礼すぎやしないだろうか。
まるで他人事のように、男を好きな心理や何やらを根掘り葉掘り聞く権利が自分にあるのだろうか。
そもそも男が好きという考えが分からない俺に対し、どうして佐々木までそんな事を聞いてくるのだ。もうわからん、誰か俺を助けてくれ。
思考を巡らせては心の中で叫んでみるものの、勿論声に出さなければ誰にも伝わる事は無いわけで。
佐々木は俺の問いに対して少し考え、そして……小さく頷いた。
「んー、もともと恋愛対象は女だと思うんスけど
今好きなのは男で…。竹内さん、どう思います?そういうの。」
「………どう思うも何も…。」
そんなのお前の勝手だろう。
そう言いかけてとどまった。
流石に冷たすぎる。
けれどどう思うかと聞かれても…一般の恋愛観を持っている俺からしてみれば、考えた事すらないというのが本音だ。
「人それぞれだから俺は構わない、と思う…。
俺は残念ながらそういう人種ではないが応援は…する……。」
「ん、そっすか。」
まただ、何処か寂しそうな顔。
ころころ変わる佐々木の表情は見ていて飽きないし面白くて好きだ。
でもこれだけは、妙に胸が苦しくなるような感じがしてあまり好きではない。
俺の傍にいる時くらいは、笑っていてほしい…。
そう思ってしまうのは、コンビニで毎晩佐々木の溢れんばかりの笑顔に助けられていたからだろうか。
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