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「そんなに思い悩むのなら、彼のアルバイト先に行けばいいじゃないですか。
僕も家から遠くない距離ですし、ご一緒しますよ。」
優雅なランチタイムを終えた法月は、さも当たり前のように俺の前に置かれた空容器を手に取り、立ち上がる。
…いつもの帰り道、いつもと同じコンビニに寄り道ができなくなるのは確かに不便だ。それならば法月の優しさに甘え、同行してもらうのも一つの手段なのではないか。
隣に誰か一人でもいれば、あいつがまた襲ってくるような事はないだろうし俺もあいつの前でいつも通りを装える。
…いや、そもそもコンビニで襲われる危険性がどこにある。
いくらなんでも佐々木を信用しなすぎではないだろうか。
勤務中にそんな事をするのは人間的にやばい奴だ。アイスと戯れながら写真撮ってる奴らより悪質だ。
落ち着け、落ち着け自分。
変に意識するからいけないんだ。
いつも通りでいい。以前を思い出せ。
たった今だってコンビニ店員と会話をして食糧を無事手に入れられたじゃないか。
「…あー、あの竹内さん。
そろそろ会社に戻らないと時間が――。」
「定時で終わらせる。すまないが手伝ってもらえるか?」
詰め込まれた雑用業務を。
そして、俺の煙草を買う事を…。
いくらなんでも部下に頼む内容にしては情けなさすぎて頭が上がらない。
だが、法月は深く頭を下げる俺を見て、胡散臭いキラキラの笑顔を向けるのだ。
「もちろん。僕もその彼の事、少し気になりますしね。」
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