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佐々木はすっかりくつろいでしまっている。
よりによってクローゼットの真ん前にあるソファで。
本気で勘弁してほしい。パンツを取りに行くことすらできない。
「あー、でもやっぱあれっすね。竹内さん。」
「…な、なんだ。」
バレたか、バレたのか?早くないか?
何かに気付いてしまったのなら気付かなかった事にしてくれ頼む。
咄嗟に股間に目を向けるが、俺の見る限りでは特に何も異変はない…筈なんだが。
やっぱりこの違和感には気づかれてしまうものなのだろうか…。
「マスクしないのは俺の前だけでいいっす。」
「……は?」
まさに“は?”だ。
声に出たそれと頭の中は完全一致。
今そこじゃないだろう。いや、そこじゃないところを指摘されても困るのは俺なわけだが、いちいち心臓に悪いから黙っていてほしい。
「あの人ー、なんか竹内さんの事エロい目で見てんだもん。マスクでガードしとかなきゃダメっすからね。」
「あ…あぁ。」
法月のエロい目というのは俺にはさっぱりわからないが、もしそれが本当ならばそんな小さな変化に気付く佐々木にはなおさら、俺の下半身だけは見ないでおいていただきたい。
佐々木の前でマスクを外す事にもうあまり抵抗はないが、パンツを履いていない事にはものすごい、それは猛烈な勢いで抵抗がある。
ダメだ、頭の中がパンツで埋め尽くされてしまっている。
着古したスウェットのゴワゴワとした肌触りがたまに刺激になって、そのうち事故が起きそうな気がしなくもないんだ。
だから早くそこから退いてくれ佐々木。
「さっきから竹内さん上の空っすよね。」
「そんな事ない。そんな事ないからはやくそこを退いてくれないか。」
「え?」
あ、しまった声に出た。
佐々木と過ごす中で、この沈黙の時間だけは少し苦手だった。ゴクリと飲み込んだ唾液は音を立てて不器用に喉を通る。咳き込んでしまいそうになるのを必死で堪えた。
これくらいなら変に悟られることはないって。大丈夫だ、気を確かに持て、俺。
余計な事だけは言うなよ。
これでもポーカーフェイスには昔から自信がある方だ。たかが高校生一人にズボンの下を知られる心配など要らないだろう。
「あ、この裏の取っ手ってなんスか?」
「…く、クローゼットだよ。普通に。」
「何か用あるんすか?今すぐ?クローゼットに?」
「…っ、そ、それ…それは……。」
無意識に内股気味になっていた足をじっくりと見た佐々木が、にやりと笑った…気がした。
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