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佐々木はどこまでも油断ならない奴だ。
これが偶然だというのなら、俺は絶対にあいつを敵に回す事だけは避けたい。勿論計算の上でというのならばなおさらだ。
どちらにしても俺は、一回りも下の高校生相手に
パンツを履く隙すら与えてもらえない。
…にしても普段の運動不足のせいだろうか。いつまで経ってもジンジンジンジン言葉には言い表せない不快感と痛みとくすぐったさを足した上に掛けたような強烈すぎる痺れに、身動きの一つも取れやしない。
テレビの雑音にかき消されながらも微かに届く水音が聞こえても、トン、トンとこの状況下では嫌味のようにも捉えられる軽快な足音が近づいてきても、廊下を照らす明かりに伸びた影が視界に入っても。
「え、ちょ…竹内さん?!なにしてんスかっ!」
その姿をこの目がはっきりと映し出しても
「ささっ、き…のせいで……足が痺れて動けないんだよ…!」
俺の足はジンジンジンジン。むしろさっきより増している。
触れなくても相当ヤバいのに、大人の悲惨な姿を目の当たりにしたガキは、妙に黒い笑みを浮かべると──。
「い、いや…いや、待て佐々木、ちょ…今はだめだ本気で辞めてくれ、おい、来るなそれ以上…それ以上俺に近づくんじゃ…。」
「突然よく喋るようになりましたね…もしかして振りスか?」
「ち、ちが……ちがう、ほんとに待っ、ぁ…ぁああああっ!!!」
やられた。ツンって。
わかってはいたけれど。どうせこうなるだろうと簡単に予想はついていたけれど。
「はっはっは!竹内さんが車通勤の社畜で土日はヒッキーって事くらい知ってるんスよ俺は!どうだ~、どうだたまんないだろ~!」
「や、やだ…ぅんっ、やめ……佐々木、やめっ!ぁああっ。」
何とか声を抑えようと必死に努力はするものの、抗えないのはまさに人体の不思議である。
頭の中で何故か着物を身に纏った俺が佐々木に長い帯をくるくる引かれ、「あーれーおやめになってお代官様~」なんてふざけた事を抜かす絵を想像してしまってからは、笑いを堪えるのにまた精神を削った。
だが、佐々木の容赦ない暴行に俺の足が復活する時間が短縮されたのは……悔しいが紛れもない事実で。
ようやく落ち着きを取り戻した頭でちらりと佐々木を見れば、その瞳はどこか熱を帯びていた。
「…竹内さん、なんか……。」
「…なんだ。」
「いや、…んでも、無いっス。」
何だよ、気になるな…ってそれよりもだ。
さっきは到底まともな思考など持つ事も出来なかったわけだが、社畜だのヒッキーだのと佐々木は年上に対して失礼極まりない発言を繰り返したのではないか?
運動不足を知られていた、故に膝枕行為は確信犯だった。百歩譲ってそこは良いとしよう。
だがそもそも先程までは佐々木の膀胱による暴行に、別の意味で苦しめられてきたのだ。
ふと気が付く。俺は佐々木に虐められているんじゃないか…?と。
ハッとしたその瞬間、佐々木はソファに手をついて、鼻同士がぶつかりそうな距離まで勢いに任せ身を寄せる。
そして、極め付けのこれだ。
「竹内さんってぇ…もしかしてエロい事する時結構声出ちゃう系スか?」
数々の侮辱行為にセクハラ発言とは、明らかに虐められているじゃないか。
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