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「…あぁごめん、竹内さん。顔汚れちゃいましたね。」
「っ、はぁ……あ、ぅ。」
「竹内さん?」
ほんの僅かではあるが、床に触れない程度に上げていた腰はへなりと崩れ落ち、全身を酷い脱力感が襲った。
先程と打って変わって饒舌になる佐々木とは裏腹に、俺の身体は既に体力を消耗しきっている。
それもそのはずだ。年齢はまず置いておくにしても、佐々木が一度達するうちに俺は二度。
普段は殆ど自慰もしないこの俺が、短時間に連続でというのは想像をはるかに超える疲労がどっしりとのしかかるのだ。
そして、冷静さを取り戻す脳内に光の速さで突き刺さる矢。これを言葉にするならば、罪悪感の他に当てはまるものはない。
「フェラしながらシコってたんスか?ほんとヤバいくらい可愛いっス。」
くっそ、バカにするなよ。ミニマムだの最恐だの可愛いだの、こいつは俺をどれだけおちょくれば気が済むのだろう。あと下品な言葉を立て続けに口に出すんじゃない。アホなのか。
「…うるさいぞ、クソガキ。」
「わー、竹内さんに悪口言われちった。…でもー、そんな格好で言われても俺なんもビビりませんよ?」
「………ッ。」
返す言葉が出てこない。断り方を知らないどころか、俺は人に反論するスキルすら持ち合わせていないらしい。
これでは職場で雑務を好き放題押し付けられるのも納得がいく。
だが、生憎俺は人に笑われて喜ぶような気持ちの悪い感性は持っていない。いつの間にか、随分と舐められたものだな。
…と、これは例えの話だ。実際にブツを舐められた件についてはノーコメントでお願いしたい。
「ほら、髪にもついてる。口離すから──、」
「い、いい加減にしろ!一体俺に何の恨みがあってこんな事するんだ!少し顔が良くてマセた遊びを知っているからって調子に乗るなよ!」
「あっはは、怒らせちゃった。恨みなんか無いですって。つーか竹内さん俺の顔、いいと思ってくれてるんスね。」
「だからうるさいっつってんだろ!!」
ああくそ。大きな声を出すと更に身体が重くなる。しかし、これ以上佐々木に好き勝手されるのは敬われるべき人生の先輩として許したくない部分があった。
それに…俺にとっては紛う事なき一大事であるこの状況の中、ヘラりとニヤケ面を見せるこの男には他に好きな男が居るんだ。
俺とのあの行為に微塵も躊躇を見せなかった様子を見るに、佐々木はその男にも同じような…もしくはこれ以上の事をしているという事なのだろう。
……っはは。どこまでもお前は俺を絶望させるんだな。どうして、そんな奴を俺は…っ。
「とにかく、もう帰れ…。」
「え?」
「当たり前だろう。今ならまだ補導される時間ではないし、明日も学校だろうが。」
屈辱、恥じらい、そしてそれとは別の何かが合わさって、一斉に俺の胸を締め付ける。
別の何か。その正体に気づいてしまった。悔しくてたまらないのに、ムカついてたまらないのに。
俺は、佐々木を……。
「…わかりましたよ。今日は帰ります。」
今日はってなんだ、今日はって。
また来る気でいるんじゃないだろうな。俺はお前のオナホの代わりでもティッシュの代わりでもないんだ。人間だ。大人だ。他人なんだ。
着衣の乱れを直して立ち上がる佐々木を、目で追うことすらしなかった。自ら迎え入れた客人に、なんと失礼な態度だとは思う。だが、破裂しそうなスクールバッグを背負うその男を見送ってやる気には到底なれないのだ。
俺はただ俯いたまま、一歩、また一歩と遠ざかっていく足音を聞いていた。
「鍵ー!ちゃんと閉めなきゃダメっスからねー!」
重たい扉が俺と佐々木との間を隔てる間際
そんな呑気な声が部屋に響く。
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