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案外、すんなり買えるもんだ。
……夜勤のオッサンなんて、何処も適当な奴の集まりだよな。
本当ならジュースの1つでも握られていた予定の手には、竹内さんがいつも買っていく煙草が2箱。
1000円札を突っ込んだポケットに、いつのものかも分からない小銭が紛れていたのは運が良い。
手早な店員だったお陰で、きっちり約束の時間内に戻って来られた訳だが──。
「ん、ぅ?ささきぃ……このたばこ、いつもと違って…ていうか、何でお前…ここに、?」
「ん〜〜酔ってんなあ。ほら竹内さん、肩貸すからとりま立ちましょ?」
「ふん、ん……スン…。」
「嗅ぐの辞めてもらっていいっスかw」
この人、酔ったらこんなんになるの。流石に想定外だよ。ただでさえ低い身長を隠して、マスクで独り言隠して、ポーカーフェイス気取ってるギャップの塊だっつーのに……まだ引き出しあるのかよ。
と、その時だった。
「ぁ、いって……ッ!」
竹内さんは、左足を地面に着いた途端ガクンと崩れ落ちた。
見れば浴衣を着ているにも関わらず、その足元には全然服と合ってない底上げされたシークレットブーツがちらりと顔を覗かせている。
「…まさか、ベロベロ状態でこれ履いて歩いたんスか?」
「だっ、て……浴衣、ながくて…。」
色々と押えが効かなくなりそうな心を何とか落ち着かせるよう、長く、長く息を吐いた。
浴衣の裾心配するより自分がまともに歩ける状態じゃない事踏まえて足の心配しろよな。しかも長いって…絶対他のサイズあるっしょ。まーた竹内さん強がってデカいサイズ着てんだろ。
……マジで、何処まで可愛い事したら満足するんだよこの人は。
「足首……いたくて、その…だから、……っ。」
酒のせい。
って、自分に言い聞かせても正直ムラつく。
俺の腕に縋り、片足を庇うように身体を預けてくれる竹内さんからは
酒と煙草に紛れる優しい香りがして。
火照った顔で、潤んだ瞳で見上げてくるその表情は、この世の誰にも見せたくないくらい色気に満ちていた。
これで誘ってないんだろうし、全く無意識だろうからタチが悪いんだ。
はだけた襟の隙間からは、首下までもを真っ赤に染め上げている様が伺える。それに、左足は負傷中……となると。
「…たーけうちさん。どこに泊まってたんスか?おんぶして送ってあげますよ。」
この選択が一番竹内さんに負担をかけない最善の方法であり、彼の何処からどう見てもエロくて堪んない姿を隠せるという、俺にとって最も最適な手段だった。
「んっ…ょ、っと。……頼むなぁ、さぁさきぃっ。」
ほんっっとシャレにならない。この人の醸し出す全てが俺の脳と下半身に攻撃的すぎるんだが。
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