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平日の夜だというのに、流石観光地と言うべきか…部屋数は多いのに、その殆どが埋まっていた。
空いている数部屋の中で、一番好みのデザインの部屋。上から3番目くらいの料金で、寝坊さえしなければ竹内さんの持ち金で何とでもなる所だ。
パネルに映し出されていた画像は、全体的に赤と黒で纏められており、端の方に僅かに牢獄のような鉄格子が見えた。
使うのはベッドだけだし。別にさ、その鉄の棒使って何かしようとか企んでないし。
……今は、ね。
勿論、カードに書かれた部屋番を探すのもエレベーターのボタンを押すのも俺の役目だ。
その間、竹内さんはさも当たり前のように俺の背中に乗っている。呑気に鼻歌まで歌って、もし誰かとすれ違ったら色んな意味で恥ずかしいだろ。
そしてかかる息が酒臭くてしょうがない。
「…竹内さん、ちょっと静かにしてくれます?」
「あぁ〜?なんでだよっ、どうせあっちもこっちもズコバコしてて俺の声なんて聞こえねぇよ!」
口調…乱れてるの可愛いな。
ガキンチョみたいに行き先指さしてヘラヘラ笑ってんのも堪んない。
「もー…あと少しで着くっスから。」
「おうっ、俺らもずこばこ…?」
「………………したいんスか。」
「ふふー、どうだろな。」
あぁもう!!!この酔っぱらいめ!!
ただ眠って帰すつもりはさらさら無いが、必要以上に煽られるのも困るのが本音。初めて店に来た日からずっと気になってて、訳もなく好きになっていって、何度も想像して抜いたってのに……。
あの日、嫌がられなかったと思うのは多分気のせいではないはずだ。帰れとか言って連絡まで無視されたけど、それも全て照れ隠しなんじゃないかと思うほど……竹内さんは、今も俺を拒んでこないから。
「着いたっスよ。竹内さん。1回降りてください、俺の肩掴まっていーんで。」
「ん…すまない、佐々木…。」
扉を開けるやいなや、なだれ込むように体勢を崩す竹内さんにつられて2人して床に尻もちを着いた。
俺は私服。でも、竹内さんはどこぞの浴衣を着ているわけで。……要するに、着崩れた裾からは日の目を浴びた事すら無さそうな白い脚が露わになるわけで。
「竹内さん、靴脱がしてあげるから。足、上げてください。んで…もう少しだけ、股開いてよ。」
「え、ぁ……こう、か?」
「そう。いい子っスね、ベッド行ったら沢山よしよししてあげるスよ。」
「んへ…俺、お前の手……好き。」
頭なんてろくに回ってないお陰で俺の頼みをすんなり受け入れてくれる素直な竹内さんは、自ら裾を捲り、下着が丸見えになっていることもお構い無しで脚を広げた。
これでもし無自覚だなんて馬鹿な事があれば、俺はこの先一生人間という生き物を信用することなど出来ないだろう。
そう思えるまでに、竹内さんの瞳には俺しか映っていない。
「……脱げましたね。じゃ、あっち行きましょ。」
「うんっ、ささき…ヨシヨシしてくれぇ。ささきの手、あったかくて、大きいから…好きなんだ。」
自信があるからこそ
つい、口をついて出る言葉。
「好きなのは、俺の手だけっスか?」
「──っ。」
けれど、竹内さんはまた少し
辛そうな顔をした。
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