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自分で言うのもおこがましいとは思うが、これまでの竹内さんの言動から正直自信はめちゃくちゃあった。
このままドロドロになるまで蕩けさせて、フラフラになるまで愛し合えると思っていただけに、この状況に理解を示すのには少々時間を要した。
「え、だめ…って。なんで?」
時間を要した…どころじゃない。
どれだけ考えてみても正解がわからなくて結局本人に聞いてしまうんだから、自分自身、相当納得がいっていない事は明白だ。
すぐ下で俺を睨みつける人物に問うも、情けなく下がった眉しかり、熱の込められた視線しかり“ダメ”という単語を俺はこれまで生きてきて間違った意味として認識していたんじゃないかと疑うくらい、竹内さんの言葉と表情は矛盾していた。
「だめ、だ…!だって……っ。」
そして、またこの顔だ。
どこか辛そうで、悲しそうな。潤んだ瞳は今にも涙が零れそう。
「だって?」
未だ俺の唇との距離を警戒する竹内さんに、大丈夫だと聞かせるように少しだけ身体を離した。
すると…。
「だ、て……キスは、好きな奴とするもの…だろう。」
「っは、?」
目の前が、一瞬にして真っ黒に染まる。
俺が今まで見てきた竹内さんの仏頂面、微笑み、照れたような仕草、下手な嘘、怒った顔と、そして今のこの酷く恥じらいを持ったエロい顔。それらの記憶がバリバリと音を立てて割れていった。
嘘、嘘だ。
竹内さんが、俺以外に好きな人がいるなんて、そんなの…嘘だ。
誰だよ。そいつ。
まさかあの一緒にバイト先に居た部下って奴?本当は俺が警戒しろだのなんだの言う前から、あいつの事好きだったわけ?
つーか今日だってもしかしたら、そいつと一緒にこんな所にまで観光しにきたんじゃねえだろうな。
……なんで、言ってくれねえんだよ。どうして俺に期待なんかさせんの。
竹内さんって、誰にでもあんな顔するんだ。好きじゃなくても、自分のちんこ舐められたらお返しできるんだ。
好きじゃなくても、あんたの事好きな俺の事家に上げられるんだ。そこで襲われても抵抗しないんだ。されるがままになっちゃうんだ。
へぇ。
竹内さんって、そんな貞操観念ガバガバだったんだね。俺知らなかった。
酔って、俺とラブホ入れちゃうんだ。好きでもない、俺と。
そっか。
自分が今どんな顔してるのか、もうわからなかった。
なんで竹内さんが怖がってるとか、なんで涙がボロボロ出てんのかとか、そんな事もう考えていられなかった。
「……竹内さん。こっち、来いよ。」
「ッ、いた…ささき、力つよ…っ!」
「知るかよタコ。」
「タ…っ?!」
つい、通常の口の悪さが出てしまう。
別に俺はいい子なんかじゃない。竹内さんに嫌われないようにそう振る舞ってただけ。
毎日俺の営業スマイル見て少しだけ顔面の筋肉緩めてくれる竹内さんが嬉しくて、作ってただけなんだ。ごめんね、竹内さん。
だからさ、チャンスとかそもそも無いなら…わざわざ猫かぶる必要とか無くね?
俺は、密室空間でありありとその存在感を見せつける鉄の柵に竹内さんを縛り付けた。
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