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どういう訳か、佐々木は酷く傷ついたような顔を見せた。
だが、理由を聞こうにもすぐにそっぽを向かれてしまえばそれは叶わない。
それどころか、俺の腕を強引に引き上げたと思えば、何を思ったか鉄製の柵に俺を押し付けたのだ。
これ…壁ドンじゃ、なくて柵ドンとか言うのだろうか?
薄い浴衣では鉄の冷たさが肌に伝わるし捻った足首を守ろうと片足のみを床につけるが、そのせいでうまくバランスが取れない。
…んー、バランスはもともとあって無いようなものだったな。ははっ!
そんな事よりもだ。何故俺は鉄に縛り付けられ、ご丁寧に用意されているフワフワした手錠で両手首を拘束されているのだろう。
これじゃ…佐々木から逃げられないじゃないかぁ。
「……竹内さん、何笑ってんの?今自分が何されてんのかわかってる?」
「なに、って……。」
普段優しいはずの、ワンコの佐々木が。
たまに暴走はするものの、いつだって俺に笑いかけてくれるアイツとは思えない程鋭い眼光をぎらつかせる佐々木が、
俺を縛って、俺を見下して、広い部屋にもかかわらずこんなに…近くに居てくれる。
ああ…やっぱり、普段と違う環境下では、いい夢が見られるものだな。
夢だ。そう、夢。夢に違いない。
そう考えれば辻褄が合う。
俺がこんなに、べろべろになるわけがない。
こんな所に、佐々木が居るわけがない。
こんな風に、佐々木に怒られるわけがない。
そうか…よかった。びっくりした。こんなに怖い顔の佐々木は見た事がないから。
こんなにつらそうな佐々木、実際に見たくなんかないから。
見たくない、のに…そういう姿として夢で現れるという事は、頭のどこかでは、見てみたいなんて…思っているのか?
ううん、真相は深い闇の中だな。
ただ、俺のせいで苦しめるのは自分も心が痛いから。夢の中なら構わない。目をあいた世界で、佐々木はきっと笑ってる。
そう思えば、気持ちは高揚するばかりだ。
今は……今だけは、この佐々木を堪能させてもらってもいいんじゃないか。
「…佐々木が、こんなに…近くにいて……お前の匂い、好きで、興奮する…っ。」
少し痛む脚で目の前に立つ佐々木の腰を引き寄せた。
普段ならば、こんな事絶対に出来ない。
自身を佐々木に悟られないように、と隠すことで精いっぱいだっただろう。
でも、夢なら。
「なに押し付けてきてんの。縛られただけで勃つとかヤバすぎっしょ…ド淫乱が。」
「いんら…だ、から……っ、佐々木のも硬いの、うれし……。」
「…っ。」
思ったことをそのまま口に出せるのは嬉しい。
世間がどうとか、普通がどうとか
そんな事、今は関係ない。
俺の夢の中の世界だ。
いつだって正解は俺のはず。
あまり力の入らない身体は柵にもたれかかり、
俺以上に反応を示している佐々木のモノに、自身を淫らに擦り付けた。
感じる熱と、擦れる布の湿っていく感覚。
そもそもの体力不足が相まって、徐々に息は荒くなる。
それをずっと仏頂面で眺めていた佐々木は、とうとう大きなため息を吐くと俺の腰に手を回した。
「キスはしない。……それ以外はどこまでいいの。」
それ以外…そんなの、決まってる。
「ぜんぶ…っ。ここで、出来る事……全部、だ。」
既に緩んでいた腰の帯が
しゅるりと音を立て、いとも簡単に解かれた。
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