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まだひ弱なチビだった俺は、その日も友達と称して俺に好き放題してくるあいつらに
虐められていた。
それにしても、これは…酷い。
そいつの兄貴は大きかった。
力で敵うわけがなかった。
だから、襲われかけた──。
無理やり脱がされたズボンは留具がはち切れて、立ち上がるだけでずり落ちる。
最初は悪ふざけだった筈なのに、いつの間にか興奮したそいつのモノは大きくて、それをケツに押しつけられて…。
思い出すだけで胃液の酸っぱさが口の中に広がる。
ギリギリのところで何とか手を振り解いて逃げた俺は、もう何処まで来たのかわからないくらい、ひたすらに走った。
あいつらに見つかったら掴まる。
今度こそ、もう離してもらえない。死んじゃうかもしれない。
気付けば見たこともない公園の前にいて
遊んでいる人の声が聞こえた瞬間、ふっと腰が抜けてその場に座り込んだ。
ここなら、もし見つかっても誰かが見ている。
そう思ったからかもしれない。
暫く頭が回らずボーっとしていると、高校生らしき2人の男が歩いてきたのだ。
そのうちの片方が俺を見つけ、こちらへ歩いてくる。
さっきの奴とは違う。
そう思っても、どうしても全身が強張った。
「何だ。…いじめられてるのか。」
「…か、関係、ないです……。」
「なー、~~?ほっとこうぜこんなガキ。」
なんて呼ばれていたのかは、もう覚えていないけど、一緒にいた人に呼ばれて、あぁと適当な返事をしていた。優しくて少し低めの声だった。
そして彼は、あるものを取り出す。
「ガキなんだから大人に甘えろよ。
……どうしても嫌なら、これを見せろ。」
そう言って渡されたのは、今まで見たことも触れたこともない、折り畳み式のナイフ。
おもちゃじゃなくて本物の。
「そんなもんガキに渡してどうすんだよ!」
「いいかガキ。これは身勝手に人を傷つけるもんじゃない。自分や誰かを守るために使え。いいか?」
その言葉は、10年近くたった今も一言一句鮮明に覚えていて
その時の俺は訳も分からず、ただ必死に頷いた。
その日から、俺の生活は変わった。
襲ってくる奴らに貰ったナイフを見せると、すぐに大人しくなった。
卑怯だとか、汚いとか、色んな言葉を浴びせられた気がする。自分たちの方が、1人を大勢で囲んでよっぽど最低な癖に。
だけど。
こんなものは飾りに過ぎない。
人を傷つけるためではない道具。
ただの脅し。
だから強くなろうと思った。
ナイフなんか見せなくたって
誰にも負けないくらい、強くなるんだと。
あの時、気まぐれかもしれないけれど
俺の心も全部助けてくれた、格好良いお兄さんとまた出会うその日までに。
次はお兄さんが困っていた時、助けられるように。
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