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「あ、その煙草。アーメン75番!」
佐々木は俺の手の中のそれに気が付いたようで嬉しそうに言う。
もっとシュンとしろ。しかもこれ、今日の昼に買ったやつ。
75番は守り抜いたんだ。
「悪いがこれは職場近くの〇ーソンで買った56番だ。」
本当の75番に火をつけて佐々木を見れば、まるで明日世界が終るかのような顔色でぐったりしていた。
「それは………あれですか、松井とかいう女から買ったものですか…?」
「松井?…誰だそれは。」
「とぼけないでください!俺に…俺に渡した財布の中にいつも竹内さんレシートなんて受け取らないくせに……松井の紙が……っ」
あぁ…何となく察した。
こいつ昼に渡されたレシートを見つけたんだな。
女性の名前なんていちいち覚えていないが、
恐らくそれが松井さんだ。
「…くっそ…青女…。竹内さんのスッカラ……スッキリした財布に余計なもの忍ばせやがって……。」
ねえ、今失礼なこと言ったよね。
財布の中身確かに小銭合わせて2000円くらいだったけども。否定できないけども。
「個人情報を簡単に捨ててしまうのはその店員にも失礼だろう。帰ったら捨てようと思ってたんだよ。」
正直に言うと完全に忘れていたのだが。
というか何故俺が佐々木に弁解なんてしなければならないんだ。何処で何を買おうと客の勝手だろう?
心に決めたコンビニを生涯愛すルールでもあるのか。
浮気がばれた旦那か俺は。
いや、誤解といえばそれよりももっと重要な案件があっただろう。
あまりにも佐々木の登場が想像の上を行き過ぎて忘れるところだった。
「おいガキ…。」
おっと、またガキだなんて言ってしまった。
でもなんだか佐々木と呼ぶのも恥ずかしい気がするんだよ。
俺達はただのコンビニの店員と客の関係なのだ。
それ以外の何でもないのだ。
だが、俺の呼び掛けに対する佐々木の反応は無く
無言のまま、ポケットから何かを取り出した。
そしてもう片方の手には松井さん(仮)から貰ったレシート。
「は?お、おい何して──…?!」
ヒュンヒュンと鋭い音を立て、右手に持った何かを素早く回す佐々木。
その音には聞き覚えがあった。
そうだ、これは…
「必要ないものなら…ここで今すぐ八つ裂きにしましょうね。」
佐々木の声は低く、冷たいものだった。
聞いたこともないトーンの声に、ゾクリと全身が粟立つ。
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