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家に付けば、妙に静けさを孕んだ空気に違和感を覚えた。
ほんの1日。いや、半日佐々木がいただけなのに。
一人きりの家はこんなにも広く、暗くて冷たい。
今まではこれが普通で、それ以外なんて無くて。
だが嵐と共にやってきたキラキラ笑顔のワンコの舎弟が。時々何を考えているかわからないあのコンビニ店員が、あまりにも賑やかだったせいで…一人が詰まらないと感じてしまう。
俺には無縁だった筈の“寂しい”という感情が、ちらちらと見え隠れしているのが何とも落ち着かない。
それは、テレビをつけても、クーラーをつけても、トイレに行っても、服を着替えても、何一つ変わらなかった。
テーブルに視線を移せば佐々木が美味そうに焼肉弁当を食べているのが見えるし
自身が座っているソファーですら小さく震える佐々木が隣に居る。
廊下に出ればすぐそこにある、開け放たれた寝室。そこを見て思い出すのは──。
ああ、もう
本当にどうしてしまったんだろうか。
煙草を吹かして深呼吸をしてみるも、やはり思い出すのは佐々木の事ばかり。
腰に当たった熱くて重たい感触が、いつまでも脳内をループして頭がおかしくなりそうだ。
と、そこである事を思い出す。
男が好きだと俺に教えた佐々木は、もしかしてあの時俺をその想い人と間違えていたのだろうか。
そうであるならば、あのような手つきで俺に触れた理由も自らも反応していた理由も、翌朝“いい夢が見れた”なんて言っていた理由もわかる。
そうか、そういうことか。
疑問が晴れた。
解決だ、解決。あぁ…よかった。
そういう事だよ、それ以上に意味などなかったのだ。夢にまで見る辺り、本当にエロガキだな。余程気持ちが強いのだろう。
叩き起こさずじっと我慢してやった俺に感謝をして欲しいものだ。
頭の中では結論付けてスッキリしているのに、心と身体がどうもしっくりこないそのわけを説明出来る者は居ないだろうか。
広いソファーを独り占めするのも気が引けて、肘掛けを枕に横になった。
昨夜の佐々木の手つきが忘れられなくて、鮮明に残る記憶を辿るように下半身に手を伸ばす──。
その時だった。
ピロンッ
聞き慣れない、というより休日ではまず機能する事の無いスマホが軽快な音を鳴らす。
裁断機の前だろうといち早く気づけるよう音量を上げていたそれに、つい柄にもなくクッションを抱きしめた。
恐る恐るテーブルに乗った板を覗き込めば、送信元は期待した通りの人物だ。
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