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今、足……っ、靴脱げて…?!
草食動物でもないので、俺の視界のほんの隅っこに僅かに見えただけの黒い塊。
だが、それが見間違いでは無い事を他でもなくこの俺が確信している。
だってそうだろう。
あんなに窮屈だったのに、足…………らくぅぅう〜〜〜って違う今はそうじゃない。
思い切り転倒したせいで、俺の真下には整った顔つきからは想像も出来ない生々しい呻き声を上げる法月が居るし、こいつが靴の存在に気付いてしまえば全てが終わる。
くそ…こうなったらもう、ヤケクソだ。
「っつつ…竹内さん、大丈夫です、か……え?」
「も、もうす、もう少し…こここのまま、がいい…っ。」
広島に来てから俺は色情霊にでも取り憑かれてしまったのだろうか。本気で疑ってしまうよ。
まさか子持ち同年代の男に、床ドンなるものをしてしまうだなんて。一体誰が想像した。
驚き目を見開く法月を無視し、ゆっくりと上半身を密着させる。徐々に、心拍は早まる。
けれど、それは昨晩の記憶にあるものとは違った。嬉しさや照れから来るそれではなく、単なる羞恥だ。
佐々木とは違う感触。彼よりも少し、背が高くてガタイも良い。
──一応言い訳をさせていただくと、俺は別に何も考えず法月に迫っているわけではない。
こうして法月の気を引いているうちに、脱げてしまった靴を探り当てていたのだ。
今、ようやく入り口に爪先が辿り着いたところ。そのまま、慎重に、慎重に足を捻じ込んで…。
きちんと履けていなくてもいい。とりあえず、このまま立ち上がる事が出来ればその後のことはまた考えよう。兎に角、法月に悟られないよう細心の注意を払う。
「あの、どういった心情の変化で…?僕も、その、仏では無いんですよね…。」
あぁ、そうだよな。本当に申し訳ない。
さっきまで本気で思ってたんだ。お前の事を傷付けるのは御免だと。利用するような行為はしたくないと確かに思っていたんだ。
でも、それとこれとは話が違うってもんだ。
あとで床に頭を擦り付けて謝ると誓おう。だからもう少し辛抱してくれよな。
「……あっ、ぁ…そう、もう少し……ふっ。」
そうだ。その調子だ、頑張れ足。痛みに負けるな。お前の力はそんなもんじゃない筈だろう。
「竹内さん。」
「よ…っ、くッああっ。」
最悪だ、また脱げてしまった。しかも今度は逆方向に倒れてしまうなんて。己の不器用加減に悔し涙が滲む。
「ちょ、竹内さん本当に。」
「んン、こう…か?ぁ、ソコ……いく、」
そろそろと足の角度を変えながら、法月の上で格闘すること数十秒。
内側に転げた靴の端を見つけたその時だった。
「ッ、竹内さん!」
「?!?な、法月お前なんで勃っ……。」
無自覚な独り言を制御してくれていた必需品は、俺の部屋でスヤスヤと眠っている。
おまけに自ら近距離戦に持ち込んだ為に呼吸すら感じられる位置に法月は居る。
よって靴にばかり気を取られていた俺は、普段こいつや佐々木から受ける指摘の頻度からして、恐らく心の声が漏れていた……と、するならば…。
「人の上で、急に喘ぎ出したらこうもなりますよ…。言ったでしょう、僕は竹内さんの事をそう言う目で見ているって…。」
太腿に触れた違和感は、会話をしている最中にも
質量を増しているように思えた。
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