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*188.
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「んなっ、何自分の罪を人になすりつけようとしてるんだお前…本当に人間か?いや、サイコパスなのか?!」
「ええぇー?!?」
竹内さんは腰を抜かして、でも今度は俺が驚く番。まさかこの人、俺を振った自覚すら無いとか?いやいや、それこそ本当に人間?どっちがサイコパスだよ。
と、この状況の中で俺達以上に何一つ理解していないこーちゃんは、空気も読まずにまたバカを曝け出す。
「つかー、おにいさんの彼女改札のとこで待ってるよ。さっきまで一緒に居たけど。」
こーちゃん…今さっき俺の振られた相手だって教えた所なのによくもまあヘラヘラと彼女とか何とか言えるよな。俺にとってその言葉がどれだけ重くてしんどいものなのか全く分かってねえ。…だからいつまで経っても彼女の1人も出来ずに派手なツラして童貞なんだよ。
とか言ったらバッグ道路に放り投げられそうだから言わねえけどさ。
これ見よがしに盛大なため息をこーちゃんに吐いてやると、ようやく気付いたのかハッとして両手で口を押さえた。
流石にもう遅いわバカ。
だが、そんな俺達のやり取りなどお構いなしの竹内さんは、ふと思い出したように財布を取り出すと、まさかの爆弾発言を投下する。
「すまないが、あの人に渡してもらえないか?」
「え?これって──…。」
「ここからなら1000円もあれば帰れるだろうから。電車賃。」
嘘でしょぉぉおお?!?!竹内さんマジで何者?え、淡白とかそういうの超えちゃってるよ?あの女は正直早く帰って欲しいと思ってるけどそれはあくまで俺の個人的な嫉妬心とか混じった考えなわけでさ??
竹内さん…の事、大丈夫だよな、好きだよな…俺……。幻滅とか…しねぇよ……?
「いや竹内さん、それはあの人可哀想じゃないスか?しかもこーちゃん伝いで金渡されるのは流石に…。」
「……む。また、呼び方…。」
「暁人さん……っぐぁあ…♡」
ダメだ可愛い。もう彼女とかどうでもいい、サイコパスとか冷酷とか女心微塵も分かってないとかそんなのいい。竹内さんやっぱ好きだ俺。こんな天使宇宙探し回っても他に居ねえよ。
「んじゃあコレ渡しとくねー!伊織、またなっ。」
俺にしか見えないように…したつもりなんだろうけど、実際竹内さんにも通行人にもみんなに見える角度での小さなジェスチャーは、彼女がいる事まで発覚してしまった竹内さんに失恋したっつってんのに、全力の“頑張れ”に見えてしまった。
これ以上バカ丸出しは友達として恥ずかしいんだけど。
嵐が過ぎ去り、力ずくでなくとも俺の隣から逃げずに居てくれる竹内さんと、2人きり。
「…さっきの女の人、彼女なの?ノリヅキさんの事好きなのに?」
「何言ってんだお前。彼女な訳無いだろ…その、だからさっき言った通り俺は佐々木が……あれ?あの赤い髪の子を好きなんじゃ無いのか?」
「逆に何言ってんの?俺…ずっと暁人さんが好きだよ。」
「へ?……は?え、急に何……を、言っ…??」
みるみるうちに顔を赤らめ、リアクション芸人さながらの後ずさりで見事コンクリートに頭を打ち付け、悶える竹内さん。
あれ、なんか思った以上に
全然気持ち伝わってなかった系…?
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