アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ちゃらお君の葛藤
-
思いもよらない質問に静は目をぱちくりとさせる。
さっきまでうとうとしていたというのに急に起きたと思ったらそんなことを言われたのだから驚くなという方が難しい。
「えーっと、急にどうした?」
とにかく何を思ってそんなことを言い出したのかを聞こうと苦笑いを浮かべながら静は恭弥に問いかけた。
「………」
すると恭弥はどこか拗ねたような顔になって黙りこくった。
(何考えてんだか…)
その顔を眺めながら静は考える。
(これは抱きたいって言ったら振られるやつか?それとも…)
くんっと服を引っ張られる感覚に見下ろすと恭弥が静の胸元を握りしめた。まるで離れたくないと言っているような、そんな雰囲気。
(付き合うのは確定か。その上でタチかネコかで葛藤してんのか)
静は笑いを堪えられないまま口を開いた。
「抱きたいって言ったら、抱かせてくれる?」
にやと笑って訊ねた静に恭弥は驚き戸惑った。あまりそういう顔を見ないからだ。そんな恭弥に追い打ちをかけるように静が「いや?」と聞いた。
「いやじゃ…ないけど……わかんない…」
ぼそぼそと呟くようにそう答えた恭弥は、静に出会うまでそんなこと考えたこともなかった。でも、静に抱かれるって考えると嫌ではないかもしれない。静を抱くっていうのは…想像がつかなかった。
「…ねぇ恭弥、キスしてい?」
「えっ」
「だめ?」と静が問う。静はだめ?とか、いや?とか恭弥に聞いてばかりだ。恭弥はそんな聞かれ方をすると弱くて、どうしても断れなくなる。
「だめではない…けど…」
「けど?」
けど…と言ってまた困ったように黙る恭弥。静はだめじゃないならいいか、と考えて恭弥の顎を片手で掴んだ。恭弥はびくっと驚いて後方へ下がろうとしたが静に腰を支えられて下がれなかった。
「落ちるよ」
ソファの上であることを思い出した恭弥は逃げ場がないと焦る。
嫌なわけではない。決して、嫌では無いのだ。
(嫌じゃ、ないけど…)
そう考えていた恭弥の目は戸惑い怯え、僅かに潤んでいて、静は恭弥の反応に疑問を抱きつつも我慢できなかった。
静の顔が近づいてきて唇と唇が合わさる。ふにっという柔らかい感触に恭弥の頭の中は真っ白になった。
恭弥の唇は固く引き結ばれて微かに震えていた。静はそれが不思議で閉じていた目を開いて恭弥の顔を見る。
(目、瞑ってるし…なんかびびってる?)
なんでだ?と考えるがわかるわけもなく、全く動く気配のない恭弥から一度口を離した。
「恭弥、唇噛まないで」
そう言って親指で口元をなぞると恭弥はゆっくりと目を開いて静を窺った。その目はやっぱり涙目で、静の興奮を煽る。
「口開いて」
艶っぽく、言葉は優しいのにどこか命令するような色を含んだ声に恭弥は無意識に薄く唇を開いた。
その瞬間、口の中に静の親指が侵入してきてかぱっと開かされる。そのまままた唇を被せるようにキスをされて恭弥は考える間もなく舌を絡め取られた。
「んん!?……ッ!!」
下唇を食まれ、舌を吸われ、歯列を舐められ、深く深く口付けられる。
何もかも初めての感覚に恭弥はもうパニックだった。はむはむと柔らかい唇で挟むように食まれるのも、ヌルりとした舌を絡められるのも、歯の根元をぞろりと舐められるのも、全部初めてだった。
ぞわぞわと背を這うような快感に、酸欠の息苦しさが合わさってよくわからない感覚に陥った。
必死に静の服を掴んでいた手から力が抜ける。
(落ちる…)
そう思った瞬間、ちゅっとリップ音を鳴らして静が唇を離した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 47