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ちゃらお君の葛藤(7)
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結局2人は当然のように付き合うことを決め、変わらず数日に一度恭弥が静の家を訪れていた。
「せい」
「ん〜?」
恭弥が名前を呼んでもパソコンの画面を睨むように見ている静は顔を上げない。ソファからダイニングのテーブルにいる静を見る恭弥の顔は不機嫌そうである。
(金曜だしやっとゆっくりせいと過ごせると思ってたのに…)
恭弥は学校が終わってから適当に時間を潰し、静が帰ってきているであろう頃に静の家にきた。いつも18時は過ぎるため今日は19時前に来たのだが、かれこれ2時間は放置されている。そろそろ我慢の限界だった。
静はと言うと、特別急ぎの仕事でもなく、なんなら持ち帰る必要すらない仕事をわざわざ恭弥を放ったらかしてまでやっていた。何がしたいのかと言うと、『待て』の練習である。
(そろそろかな。拗ねられると意味ないし、なんか今日機嫌悪そうだし)
パタンとパソコンを閉じると恭弥がばっと静の方を向いて反応した。まるで飼い主をずっと待っていた犬のような反応に笑いそうになったが、ここで笑ってしまうと台無しになる。
静は余裕たっぷりに恭弥に視線を向けてどうかしたかと目で問いかけた。
恭弥は今直ぐに飛びついて甘えたい衝動と、2時間も放置されたことについて不機嫌であることを示したい心情の2つの思いの間で揺れていた。今直ぐ抱きついてすり寄れば静は笑って受け入れてくれるだろうし、不機嫌だとアピールすれば下手に出てご機嫌取りをしながら甘やかしてくれるだろう。
正直どっちも大して変わらないだろうと言うような違いだが、本人にとっては大違いで悩みどころなのだ。
迷いに迷って恭弥が選んだのは後者の不機嫌アピールの方であった。構ってもらえなかった2時間分、きっちりと甘やかしてもらう……いや、甘やかす権利をやろう、なんて考えた結果である。
「きょーや?」
何も言わない恭弥に静が声をかけるが恭弥はつーんとそっぽを向いて無視してやった。
(呼んでないでこっち来いよ)
内心でそんなことを考えていた恭弥は静が立ち上がったのを視界の端に収めて内心ほくそ笑む。
しかし静は恭弥の予想を裏切った……
「さあ、風呂入ろっかな〜」
そんな独り言を呟いて静は風呂へ行ってしまった。
まさかまた放置されるとは思っていなかった恭弥はぽかんと呆けた顔で静の入っていった扉を見ていた。
「な…な…なんでだよっ!!」
思わず口をついて出た恭弥の言葉を、僅かに開いたままにしてあった扉の隙間から聞いていた静は悪い顔で笑っていた。
(素直に甘えてきてたら構ってやったのに)
静は恭弥を支配したいし屈服させたい。もちろん言うことを聞くだけの人形が欲しいわけではないが、恭弥が静の様子を窺って、考えて、自分の意思で静の希望に沿う行動を取るように仕向けたいのだ。
更に言うと、恭弥の『甘えたい』が当たり前に表に出て、行動に移されるようにさせたい。静だけは恭弥の願望を受け入れ満たしてくれる、そう刷り込みたいのだ。
固執して、依存して、溺れさせる…
そうして離れられなくして手に入れる。そしたら逃げられる心配もない。
(早く堕ちて来い恭弥…)
どこか暗く酷薄な笑みを浮かべて自身の手を見つめていた静は、恭弥が追ってくる様子がないことを確認してから風呂に入った。
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