アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ちゃらお君は怖がり
-
月曜日。
一日授業を寝て過ごした恭弥は放課後、生徒会室のソファでダラダラとスマホを弄っていた。何となく家に帰るのは嫌で、かと言って夜の街で遊ぶ気にも到底なれない。
ため込んでいたセフレや媚びてくる女達からのメッセージを適当に見ていく。だいたい同じようなことしか言わない奴らに辟易するがその中に気になるものを見つけた。
『新藤君が最近色んな子と寝てるって聞いたし、恭弥が相手してくんないならそっち行っちゃおうかな〜?』
明らかに気を引きたいだけの内容だが、斗真が色んな奴と寝ているというのは久々に聞いた。
(ちとせに夢中で他なんて興味がなくなったと思ってたけど…)
考えても仕方がないし聞く方が早いと恭弥は机に向かって何やら書類を眺める斗真を振り返る。
「斗真さ〜最近だいぶ遊んでない?」
鎌をかけるつもりでそう聞いてみる。
「…別に遊んでるわけじゃない。お前と一緒にするな」
ちとせ以外には基本素っ気無い斗真は書類から視線を外すことなくそう言ったが、僅かに眉間にシワがよったのが恭弥にはわかった。
(へぇ〜ほんとなんだ。俺は最近全く遊んでないけどね!)
少しばかりイラついた恭弥は意地悪く更に問う。
「ちとせ、そのこと知ってるわけ?」
「言う必要がないだろう。言ったところであいつは気にしない」
「ふ〜ん?」
(そーゆー自分勝手なとこがちとせに好かれない理由だと俺は思うけどね〜…それより…言う必要がない、か)
ズキリと胸が痛んだ。押し隠して忘れようとしていたものが出てこようとする。
(せいも言う必要がないと思ったから言わなかったのかな)
その時、ガラガラと音がして生徒会室の扉が開いた。入ってきたのは副会長の佐久間 律(サクマ リツ)と顧問である美津島 静(ミツシマ シズカ)だった。
「律…と美津島先生。何かあったんですか?」
恭弥は斗真の言葉にびくりと肩を跳ねさせた。
「いいや、特に何もないんだけどね」
にこりと笑って静は答える。ちらりと静がソファに視線をやれば、同じく静の方に視線をやった恭弥と目が合う。
恭弥はどうしていいかわからず急いで起き上がると荷物を持って立ち上がった。そのまま1つしかない教室の出入口に向かうが2人がいて通れそうにない。
「邪魔」
たった一言、それだけを言うために開いた口は僅かに震えており声は自信が想像していたものよりも随分と冷たいものになってしまった。
恭弥は律を押しのけて廊下に出ると暫く足早に歩いて角を曲がったところで立ち止まった。
(さすがにあの態度は酷い…)
嫌われたかもしれない。そんな不安に襲われる。
あの日から怖くて静からのメッセージや電話は無視している。更にあんな態度を取れば呆れられるかもしれない。
(まだ、別れてないのに…)
いや、別れていないからこそ…まだもしかしたら…そんな思いが恭弥に身動きを取れなくしていた。嫌いになんてなれない。本当は別れたくもない。
ただ恭弥は
「怖い…」
ポツリと呟いてその場にしゃがみこんだ。暫く、人気のないその場所で恭弥は蹲っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 47