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ちゃらお君の待ち時間
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長い長い授業が終わり、長い長い待ち時間を過ごしていた恭弥はここ数日静とのスキンシップがあまりにも少なかったことを思い出して色々と限界を迎えていた。
(おそいっまだ帰ってこないの!?今日行くって言ったのに!!)
まさか忘れられてるなんてことはないだろうが…そんなことを考えつつスマホを確認した恭弥は20:09という表示と通知のないシンプルなロック画面にイライラが募る。
(もういい、帰ってこないなら俺は帰…)
「恭弥、ごめんね遅くな…ったっと」
聞き慣れた声がした瞬間そちらを振り返って駆け出した恭弥は静に抱きつく。
「ちょっと片付けなきゃいけない仕事があって…」
抱きついたままグリグリと頭を押し付ける恭弥は静の話など聞いていない。静は苦笑する。
(こんな外で甘えてくるとは…昨日あんなにあっさり俺を置いて行ったのは何だったんだ…)
「中入ろう」
静がそう声をかけても恭弥は離れる素ぶりは見せず、静はそのままエントランスのロックを解除して抱きつく恭弥をそのままに歩く。恭弥は大人しくついてくる。抱きついたまま…
「きょーやー歩き難いんだけど…」
「…俺の方が歩き難い」
「そりゃそうだ」
静はクククっと笑う。抱きついている腹や胸が静の笑いに合わせて揺れるのが面白くて恭弥もまた笑った。
「何か面白かったか?」
「ん〜」
「……なぁ恭弥、俺たち今付き合ってもいないわけなんだけど、そんな外でくっついてていーの?」
「………」
「俺、昨日振られたんだけど」
「………」
「俺傷ついてるんだけど」
「……ごめん」
そう言うと恭弥はしがみついていた手を離して1歩、静から距離を取って俯いた。
「ちょっと恭弥待って、そのごめんはどういうごめんかな?流石に立ち直れなくなる」
エレベーターに乗り、部屋の前に来るまで黙りこくっていた恭弥に『ごめん』なんて言われ焦る静は珍しく本当に狼狽えていた。
(いやいやいや、昨日の感じだとこれから2人で改めて始めようみたいなノリだったと思ったんだけど?)
「…中、入んないの?」
「入る…けど………」
急かすようにそう言われて静は部屋のロックを開けてドアを開けてやる。恭弥は「ありがと」と小さく呟いて玄関に入り、静もそれに続く。
明かりをつけて靴を脱いだ静が部屋の中に足を踏み入れようとした時、背後からまたも抱きつかれる。
(これは…いや、甘えてるんだろうけど…くっそ可愛いな…でも今押し倒したらまた有耶無耶に…)
悶々とする静と何と切り出せばいいのかわからないがとにかく離れたくない恭弥。しかしやはり大人の余裕か静は冷静に口を開く。
「恭弥、今日泊まってくよね?先にお風呂入っておいで。着替えは後で持ってくからカバン貸して」
優しく引き剥がされ、カバンを回収され、腰を押されて脱衣場に放り込まれた恭弥はぽかんとしていた。
(避け…られて、る?)
もちろん静にそんなつもりは微塵もない。静は自身がやらかして恭弥を怒らせ傷つけ振られたために大人しくしなければと思っているだけである。
それに対して恭弥は自分は告白したも同然なのに静からその返事はなかったし、静は口では振られただ傷ついただ言っているが軽くあしらわれて風呂に放り込まれて本当は今日こんなに会いたかったのは自分だけなのではないかと泣きそうになっている。
(話し合って仲直りしてちゃんとしたいって思ってたのに、寧ろ状況悪くなってない…?)
じわりと視界が滲む。それをぱちぱちと瞬きして誤魔化すと、恭弥は服を脱いで風呂に入った。
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