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ちゃらお君のキス
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改めてちゃんと話をしようとドライヤーをするように言い聞かせて、渋る恭弥を洗面所に追いやった静は自分の分のアイスコーヒーと恭弥のためのマンゴージュースをいれてソファに座った。
戻ってきた恭弥はちゃんと髪を乾かしてきたようで、染めているとは思えない艶のある綺麗な金髪をふわふわと揺らしながら近づいてきた。
2人掛けのソファではあるが一般的な3人掛けのそれより少し小さいくらいの大きめのソファ。その半分を空けて座っていた静の隣…ではなく脚の間にどすっと腰を下ろした恭弥は当たり前のように背を静の胸に預ける。
「話しにくくない?」
苦笑しながらそう口にした静に恭弥は答える。
「全然」
「そっか?」
くすりと笑った静は恭弥の腹に手を回すと肩に顎を置いた。
「きょーや、俺と付き合って?」
「ん」
「ふふっ…可愛いね」
「……」
「照れてる?」
「……」
「ちゅーする?」
「する」
「するんだ」
くすくすと笑う静の声が耳元で擽ったいと恭弥は身をよじる。
(キス…し難い)
今の体勢では首がしんどいと恭弥は一度静の手を腹から退けさせると立ち上がって振り返り膝を跨ぐように向き合って座り直した。
「この体勢好きだよね」
「…たまたま」
そう言って静の肩に両手を置くと恭弥は静の顔に自身の顔を近づける。静は動かない。にやにやとした笑みを浮かべたまま恭弥を見上げていた。
(待ってる…)
恭弥からキスしたことは一度もない。いつも躊躇っている間に静の方から触れてくるからだ。
(今日は、動かなさそう)
片手をそっと持ち上げて静の頬に添える。顔に影が落ちると静は目を瞑り期待に胸を膨らませた。ちゅっと触れるか触れないかギリギリのキスが落とされた。
静の閉じていた瞼に…
期待を裏切られた静はぽかんと恭弥を見上げた。恭弥はにししと悪戯っ子のように笑って静を見下ろしていた。
(うわ…やばい…)
かあと静の耳が赤く、熱くなった。顔色は変わっていない。触れていなければきっと誰も気がつかないような変化である。しかし恭弥は気がついてしまった。僅かに静の体温が上がったことに。
(なんか耳熱い?)
恭弥は触れていた手で静の顳顬辺りの髪をサラリと避けた。
(あ、かい…)
露わになった耳が赤くて、熱くて、恭弥は驚いた。なぜと考えてキスしたからかと考えるが瞼にしただけである。不思議に思うも答えが出そうになくて恭弥は思考を切った。ただ恭弥は嫌そうな、複雑そうなその顔が
(好きだなぁ…)
とそれだけが浮かんだ。
耳が赤くなっていることがバレて照れたのか、目を逸らしている静を見ていると何だか知らない感情が溢れて溢れて止まらまくなった。
(ぎゅうって抱きしめたい。潰れてしまうくらい強く抱き締めて欲しい。ずっと一緒にいたい。離れないで欲しい。俺だけを見ていて欲しい。もし捨てられたら、俺は死んじゃうかもしれない)
次から次へと湧いてくる欲望に叫び出してしまいそうだった。正体のわからないそれに恭弥は戸惑う。泣きたくなるほどのその感情の名を、恭弥はまだ知らない。
(ただ今は、キスがしたい)
何の前触れもなく、恭弥が静の唇にキスをした。一瞬だけ驚き固まった静だが、すぐに恭弥のキスに応える。腰を支えて背に手を回す。角度を変えて合わさるだけのキスに焦れた静が唇が離れた時を見計らって囁いた。
「口開けて」
恥ずかしがりながらもうっすらと唇を開いた恭弥に静が目を細めて心の中で『いい子』というと、恭弥は伝わったのか嬉しそうな顔をした。
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