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ちゃらお君とチーズケーキ
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テスト最終日の放課後、恭弥は保健室にいた。
「静ちゃん今日何時まで〜?」
「あたしたちテスト頑張ったし遊びに行こうよ〜」
上履きの色から3年であろう女子生徒が2人、静にベタベタと触る様子を恭弥はカーテンの隙間から見ていた。
「今日は会議がありますし、なくても生徒と遊びに行くことはできませんよ」
困ったように笑いながら静はやんわりとしかしはっきりと断る。
しかし恭弥がそれで満足するはずなどなく、苛々とした様子で静を睨みつけている。それに気づいている静は内心僅かに焦っていた。
(このままだと拗ねて帰りかねないんだよな…会議あるって嘘ついたけど恭弥には逆効果だよな、聞いてない!ってキレられそう)
「斎藤先生はこの間生徒と遊びにいてたよ!」
「そーそー!休みの日に!」
「あれは部の備品の買い出しだったと聞いていますから、誤解を招くような発言は控えましょうね」
「え〜いいじゃーん」
「テストで勉強漬けだったんだよ〜」
「それは頑張りましたね」
(なーにが頑張りましたね、だよ!早く追い出してよ!!)
ニコニコと女子生徒をあしらっている静だが、脳内ではどうやって恭弥の機嫌を取るかばかり考えていた。
(帰りにケーキ屋でも寄れば…いや無理か。まず保健室から人がいなくなった瞬間出ていかれそうだな…あー睨んでる、可愛いな〜じゃなくて…)
「ほら、君たちそろそろ帰りなさい」
「「え〜〜〜」」
「もうお昼になりますよ」
「えっやば、ほんとじゃん」
「お店混むよ!行こ!」
「静ちゃんバイバイ!」
「また月曜日!」
「はい、さようなら、気をつけて」
初めから静が誘いに乗るはずがないとわかっていた2人はさっさと荷物を持って出ていく。残されたのはやれやれといった様子の静と、未だ静を睨み付けている恭弥だけだ。
「きょーや?」
「……」
シャッとカーテンを開けた静が恭弥の名を呼ぶが返事はない。むくれた顔でただ黙って恭弥は静を睨んでいる。
「会議はないよ。もうすぐ帰れるからそんな顔しないで?」
静は優しく諭すように恭弥に声をかける。
「今日ケーキか何か買って帰ろうと思ってるんだけど、恭弥はどこのがいい?」
恭弥は答えない。
「そういえば一昨日ネットで見つけた美味しそうな紅茶が今日届くと思うんだけど、飲みたくない?」
恭弥は睨み続ける。
「明日休みだし、泊まってくでしょ?」
「……隣駅のチーズケーキ。紅茶飲む。泊まる」
恭弥はまだ拗ねていたが無視し続けることも良くないと短く返事をした。
「わかった、もう少ししたら時間だからそれまで待ってて」
「ん」
小さく頷くとまた恭弥はカーテンの中に戻りベッドに寝転がる。
(ケーキ楽しみ…)
悪かった気分はあからさまな静のご機嫌取りに良くなった。今はもうケーキと紅茶と静との時間のことで頭はいっぱいだった。
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