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ちゃらお君と親友
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そういえばここ数日、異様に斗真の機嫌がいい。それはもう気持ち悪いくらいだ。
それに対して恭弥の機嫌はすこぶる悪い。なぜならあの日から1度も静が手を出して来ないからだ。
土日もその後の数日も静の家にいたにも関わらず、静は寝る前に「恭弥、おやすみ」と言って額にキスを落として抱きしめて眠るのだが、ただそれだけだ。
正直に言えば恭弥は、溜まってた。あんな中途半端に終わらせられて溜まらないわけがない。
「………何をそんなにイライラしてんだ?」
いい加減に見かねた斗真が恭弥に問いかける。
「別にイライラなんてしてないけど?斗真こそ、なにがそんなに嬉しいわけ?気持ち悪いんだけど」
恭弥は自分では気がついていなかったが、斗真は直ぐに気づいた。
(こいつ、珍しく本当に不機嫌だな。いつもの猫被り忘れてるし、語気も強い。昔の恭弥に戻ったみたいだな)
誰にもわからないような変化だったが、斗真はふっと表情を和らげた。なんとなく、嬉しかったからだ。
「なに、笑った?ほんと、気持ち悪い」
「別に、ちょっと可笑しかっただけだ。で?なんでそんなに不機嫌なんだよ」
珍しく斗真はしつこかった。余程機嫌が良いようだ。が、次の瞬間にはその斗真の機嫌の良さは急降下した。
「なになに〜?恭弥機嫌悪いの〜?もしかして溜まってる?みなが相手したげよっか?」
「みな」と自分の名を口にした女はいつか恭弥に『新藤君が最近色んな子と寝てるって聞いたし、恭弥が相手してくんないならそっち行っちゃおうかな〜?』などとメッセージを送ってきていた女だ。
斗真と恭弥のクラスメイトたちは一様に思った。「これだから外進生は」と。
新藤 斗真、瀬戸 恭弥、佐久間 律、この3人はこの学校において絶対的な存在だ。それは中学の頃から変わらない。
そのうち新藤は特に他人に興味が無い。どころか興味のない人間に話しかけられることを嫌う。それを分かっている内進生たちはみなそっと距離を取り、視線を3人から外した。
案の定新藤からは負のオーラが出ているのではというくらい恐ろしい気配を感じる。
斗真と恭弥、2人の会話に割り込むなどタブー中のタブーだ。もちろん例外もいれば、時と場合によっては問題がないこともあるが、今は違ったようで。
「お前、誰?誰の許可得て俺らの会話に入ってきた?」
今日の斗真の機嫌は良かったように思ったが、逆にそこに水を差されていつも以上に冷たかった。
「みな」と名乗った女は斗真の様子に怯え、恭弥に助けを求めようと視線をやるが、恭弥は我関せずといった様子で窓の外を眺めていた。
そんな恭弥の様子に斗真の意識は女から恭弥へと移った。
(元かどうかは知らないが、この女確か恭弥のせフレだよな。いつもなら庇うなり何なりするはずだが…)
『も〜斗真ってすぐ怒るよね〜そういうとこだよ、ちとせに好かれないのって。ほら顔怖い怖い!』
とか何とか言ってきそうなものだが本当に興味が無いのか窓の外を眺めて心ここに在らず、だ。
もう恭弥も斗真も女に興味は無くなっていた。
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