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歯の浮くような台詞。
だけど、軽いものなんかじゃない……
なんの反応も見せずにいると、ハイジが僕の手からペットボトルを奪う。
そして蓋を外し、再び僕の手に押し付けてくる。
「ちゃんと飲めよ、薬」
「………うん」
ゴホッ、ゲホゲホッ……
喉がひゅぅっと貼り付き、苦しくて再び咳き込んでしまう。
「大丈夫かよ」
ハイジが直ぐに立ち上がる。
そして、丸めた僕の背中を、ハイジの手が優しく撫でてくれた。
……ねぇ、ハイジ……
施設を抜けた後……
どうやって生きてきたの?
竜一とは、どうやって知り合ったの……?
あの時僕を突き放す事になった、ヤバい仕事って?
その後……何処で何してたの……?
聞きたい事や知りたい事は……まだ山ほどある。
……ゴホッ、ゴホッ、
なのに……
タイミング悪く、咳に阻まれてしまう……
「……もう、ゆっくり寝とけ」
「う、ぅん……っ、ゲホッ」
ハイジの手が、離れる。
そして握り締めた僕の手を優しく解き、風邪薬を拾い上げる。
「風邪が治ったら、……外、連れてってやる」
ハイジの言葉に驚いて、頭を少し上げる。
そしてハイジの方を見れば、僕の隣……ベッド端に腰を下ろし、優しく見つめていた。
「……だからホラ、口開けろ」
「………」
言われるまま、唇を割って咥内を見せる。そこにハイジの指が近付けば、舌上にカプセル薬を落とされる。
……唇に触れた指。
その指が少しだけ、震えていた。
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