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何でこんなにドキドキするんだろう……
良く、解らない。
解んないけど……
ハイジが、格好良く見える。
さっきのホストなんかには負けないくらい……
もし、ハイジがホストをやってたら……きっとナンバーワンなんじゃないか、って思う。
髪が同じプラチナブロンドだけど、ハイジの方が数倍綺麗だし、纏うオーラも全然違う。
箔が違う。
抱えているものがある分、惹きつけられる。
無感情の瞳に捕らえられれば、底冷えする程震えてしまうのに。
とろとろの蜂蜜の様に甘く、底なしに優しくされたら……
きっと、どんな女性だって……
そう思いながら、胸の奥がじりじりと焦がれていくのを感じる。
カチャンッ。
ドアが完全に閉まり、姿が見えなくなる最後の最後まで……
僕は、ハイジを目で見送った。
「………」
改めて、部屋の中を見回す。
奥の壁一面には、煌びやかな光を放つお洒落なドレッサー。その前には四人掛けのテーブル一式。
入り口側の壁にはロッカーとゴミ箱があり、冷蔵庫も置かれていた。
……部外者の僕が、こんな所にいていいんだろうか……
そんな不安に駆られながらも、テーブルの椅子を引いて座る。
……でも、あのフロアの一角で待つよりは、こっちの方が静かで落ち着く。全然いい。
塵ひとつない綺麗なテーブルに、身を預けて目を瞑る。
冷たくて、気持ちいい……
最後に見た、ハイジの瞳が忘れられない。
あの鋭い瞳で見つめられただけで、体に緊張が走り……指先が震えて冷えていくのに、胸はドキドキして……カッと熱くなるなんて……
ハイジにこんな感情を抱いた事なんて、今まであっただろうか……
先程生まれた熱が、ひんやりとしたテーブルに吸い取られていく。
そんな心地良さを感じながらうとうとし始めた時、突然ドアが開いた。
「……じゃあ、黒アゲハに可愛がって貰ってたんだァ」
その第一声に、一気に現実へと引き戻された。
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