アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
77.
-
「「ごめん」」
第一声は、それだった。
球技大会を終えて、一緒に教室を出て帰る。よくあった光景だけど、いつもと違ったの今日はどちらも話さないということだ。
駅について、唯斗んちいける?と聞かれたので大丈夫と答えて、僕の家に向かった。
家に着くまで、この会話以外はしなかった。
「海くん、ごめんね。もっとキス、したいよ。もっと触れたい、抱き締めたい。海くんがまだ、許してくれるならエッチもしたい。海くん、ごめんね。痛くてもいいって、それでもしたいって思ってくれて、嬉しかった。その気持ちが見えなくて、ごめんね。その気持ちを、踏みにじるようなことを言って、本当にごめん」
海くんを大切にしたい気持ちは、嘘じゃない。傷つけたくない気持ちだって嘘じゃない。
だけど、噛み合わないとどれほど大切にしたくても傷つけるんだって知った。
「いざ知って、俺とはできねーって思ったのかなって。もっとって思ってるのは、俺だけだって」
「ねえ、海くん。エッチして痛いのは、傷つくとは違う?」
「やったことねーからわかんねーけど。唯斗が傷つけるとか言って触んねーのは傷つく、とゆーか悲しい」
「うん、ごめんね。海くん、優しくする。僕が出来る限りいっぱい優しくするから、エッチしてもいい?」
「うん、や……」
海くんがなにか言いかけた気がするけど、気にせずキスをする。
海くんはもっとを求める、僕はもっとをしたい。
痛くてもしたい、そう言ってくれた海くんの気持ちには、優しくする、と答えればよかったんだ。
精一杯優しくしよう。
痛くないように、怖くないように。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
88 / 143