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29 side怜
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side怜
やっと眠ってくれた。
時計は午前3時。
横向きで、顔の前に手を置いて眠るりっちゃんは小動物みたいで可愛い。
今日は遅くまで起きていたから夜行性の小動物さんだったね。
かわいいね。
きれいな黒髪に白い肌。
宝石みたいに綺麗な瞳。
スタイルも良いし、声も仕草も、小柄なところも、全部可愛い。
りっちゃんとは幼稚園の頃からの幼馴染。
彼は意外と強がりさんだ。
だって未だかつて、彼の泣き言を聞いたことが無い。
たまに目に見えて弱っている事があったけれど、それでも口には出してくれなかった。
俺の前での性格とみんなの前での性格も違くて、それも彼の張るバリアの1つなのだろう。
疲れるだろうな。
そんなにいくつもの自分をつくりだして。
ストレスも体調に出やすい体質なのに。
でもそんな彼が、俺は可愛くて仕方なかった。
俺よりも小さくて、悩みも多くて、身体だって強くないのに、必死に頑張って生きている姿が好きだった
何だろう。
一度小動物に見えてから、そうとしか見えなくなったというか。
いやそれは語弊があるな。
小さな体で、必死に強くあろうとする姿が凄く印象的だったんだと思う
彼は小学生の頃に親を事故で亡くして、それから施設暮らしだった。
その施設があまり良いところでは無くて、歓迎はおろか、心のケアだったり、居場所を作ってもらえなかった。
だからか、自分のことを無意識の内にどうでもいい存在として扱うことがあったり、かと思えばふとした拍子に凄く辛そうな表情をしたりした。
多分そんな彼をどこかで、すごく可愛がってあげたい、大切にしてあげたいと思ったのが始まりだったような気がする
ただ、今はもう何だか全てが可愛く見えて仕方ない。
何をとっても可愛いのだ。
今だって、彼の体温でほんわりと暖かくなっている布団も可愛い。彼の体温が可愛い。
何を持って可愛いなのかはわからないけどもう、俺は彼が可愛くて可愛くて堪らなかった。
もう好きとかそういう次元ではなくて、りっちゃんが信じられる人の隣で、幸せだなって笑っていて欲しかった。
それが例え、俺でも、俺じゃなくても。
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