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35 side律
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side律
「少しは落ち着いた…のか?」
「うん落ち着いた落ち着いた。
酒の力?多分それ」
「酔ってるだけかよ」
今日はテーブル席で、いつもの様にはくっつかず、向かいの席で机に頭を埋めながら話していた
今日は泣いたり怒鳴ったりキレたりしてない。
別にそうしたいと思わなかった。
「その怜ってやつ面白いな」
「んー…面白いのか?
分かんねーけど。でもいい奴」
怜の話をしながらお酒を飲んでいたが、不意にその手を抑えられた
「一気に飲みすぎ。
もっとゆっくり飲まないと体ついてこれなくて気持ち悪くなる」
「えー何それ、初めて言われた」
「初めて言ったからな。
後、飯もちょっとは食え」
ご飯まで勝手に頼まれてしまう。
「何か今日うるさくない?」
「目の前であんな苦しそうにぶっ倒れられたらそりゃ、少しは配慮しねーとって思うだろ」
「そういうもん?
でもいいよ、そういうのしなくて」
「いいっていうか、俺が気になるから勝手にしてるだけ。」
「ふーん、何かよく分かんねぇわ」
運ばれてきたご飯をしょうがないから食べ始める
お腹がいっぱいになるとそこまで酒も進まず、意識がはっきりと残るまま深夜になっていった
「紘、ホテル。」
「は?やだよ。金使いたくない」
「嫌。俺も帰りたくない」
「なんで」
寂しい、のだろうか。
あの静かで暗い家に帰るのはなんとなく気が引けた
でも明日は仕事だし、帰らないといけないというのは分かっているけど。
これはただのわがまま。
ダメだとは分かってるけど
でも…今は一人になるの、嫌だ。
「…言わない」
「じゃあダメ。」
「ねえ、紘。俺もやだ」
「どうしたのお前」
んー、とガシガシ頭を掻いた後、「ホテルじゃなくて、家でもいいなら良いよ」そう言った
「家行く方が面倒じゃない?
ホテル代くらい俺出すけど」
「今日帰ってからやんなきゃいけない事あるんだよ」
「…それ、俺いたら迷惑じゃないの」
「突然弱気だな。別に俺はいいけど。来る?」
「…ん」
紘の提案で、家に行くことになった。
店を出ると冷たい風が吹き抜け、ぞくっと体が震えたところで上から大きなジャケットをかけられた
「風邪引くなよ」
んー、倒れたからだろうか。
紘が優しい。
いや、元々優しいやつではあったが今日はいつもより優しい。
少し歩いたところでタクシーを拾うとそのまま家へと向かった
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