アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
36
-
「紘」
「ねぇ、紘」
「無視すんなよ」
「なぁ」
仕事をしていたであろうパソコンを閉じ、苛立ったように目線を合わせられる
俺も何度呼んでも無視されることに少しムカついたのでお互いに少し不満げな瞳と目が合った
「んだよ」
「薬持ってくんの忘れた。頭痛い」
そしてそんな状況でも、紘にはこんなことをペラペラと話せてしまう自分にも驚く
ほんとに紘だけだよな、こういうの言えんの。
「…は?
何で昨日の今日で持ち歩くの忘れんだよ」
昨日今日じゃないし。
一昨日だし。
「市販のでもいいならあるけど」
立ち上がった紘は棚を漁りはじめた。
そんな奥底にある薬とかいつのだよ。
「賞味期限大丈夫なのそれ」
「使用期限な。
んー、来年まで大丈夫」
それこそ、知らねーよ。とか言われるかと思ったがちゃんと確認してくれた
やっぱ優しいよな
お兄ちゃん気質ってか、そういうところは怜と似てる
性格とか構い方は違うけど優しいのは似てる。
ぼーっとそんな事を考えていれば水まで入れてきてくれて、薬を渡される
小さくお礼を言って飲めば「ほら、大丈夫か」と片手を頭に当てられ、紘の大きな手は俺の頭の半分を覆ってしまう。
泣いてはいないが、擽る様に目元を撫でられた
何だか、擽ったい。
大切にされているような、そんな感じがしてしまう。そんなこと無いのに。
そしてそんなことを思ってしまった自分に居心地の悪さを感じる
「…タバコ吸っていい?」
「お前バカなの?
いま頭痛くて薬飲んだんだろ。寝るか横になるかしか許さない」
ほら、どうすんの。と軽くベッドに促される
「…分かった」
はいはい、大人しくしてますよ。
紘の家だし、しょうがないから言うことを聞いてやろう。
ひんやりとした布団に少しズキズキと痛む頭にぎゅ。と目を瞑る
「ちゃんと寝ろよ」
部屋を出ようとする紘にそう言われ、こくりと頷いた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 349