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『りっちゃーん』
何処からか、声が聞こえた。
一瞬幻聴かと思ったが、声の主は確実に俺を呼んでいる
そしてその声は玄関の方から。
ちらりと覗けば怜がいた。
「………どうしたの」
勝手に家に入られるのは嫌で、しっかりと自分で玄関の扉を抑えながら外にいる怜に問う
「ご飯作ってきた!一緒に食べよう?」
今は食べたくない、食欲ない、そう思ったがそれは弱っているのを認めるようで、教頭に自分が負けたようで、そうは認めたくなかったので頷いた
「…うん」
玄関を開けると怜は優しく俺の頭を撫でた
「いい子いい子」
テーブルに持ってきたであろう料理を置いて、今度は抱きしめられる
怜の体温は温かい。
「この前夜にさ、紘さんのこと話してくれたじゃん?
俺、その人に会ってみたいな」
抱きしめられながらそんなことを言われた。
「紘に?」
「うん、俺も友達になりたいなーって」
「…後で連絡先送る」
「ううん!会いたいの!」
「二人で会ったら良いでしょ」
「じゃなくて、今会いたいなーって」
「今?」
それから、何故か怜は紘を今ここに呼んでと言って聞かず、俺は渋々連絡をした
前にも何度か紘には家に荷物を取りによってもらったりしていたので家は知っていると思う
怜の持ってきてくれた料理をふたりで食べながら、紘が来るのを待った。
家にいた俺は忘れていたが今日は土曜日で、だから怜も今いるのだと後から気づく
紘も『分かった』と返事をくれ、俺はソファの上で膝を抱えてじっとしていた
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