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49 side紘
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side紘
言えるわけ無いよな。
しらす丼を食べに行ったときの笑顔が可愛くて、よく左腕にくっついてきて不満そうにわがままを言う姿が可愛くて、それを、もっと見たいからとか、絶対言えない。
頭痛くて泣いてるのとか、寝起きに突然泣きだしたりとか、ああいう姿は見たくないから話聞いてやりたいとか、言えるわけ無いだろ。
「お前何で俺に構うの?
そんなに優しくする義理はないでしょ」
律の問いかけの答えは到底言えるものではなかった
並んでソファに座りながら、俺の左腕にくっついてうとうとする頭を見守る
「…紘」
「ん?」
「まだ…帰んなよ…」
半分寝ながら独り言のように呟かれるその言葉。
帰んねーよ。
目の下にはクマが出来てしまっていて、ここ数日満足に寝れていなかったことが伺える
別に律が好きなわけではないと思う。
もちろん嫌いでは無いけれど、恋愛的な感情は抱いていない
ただ、何というか…俺にだけこんなにも素を見せてくれていると、俺がこいつの声聞いてやらねぇと他に誰が聞くんだと思えてきて、そう思ったら突然壊れ物に思えて、大切にしないと周りに壊されてしまうから俺が守らないと、なんてそんな気持ちになった
意識すると気をつけてやりたいことは沢山あって、余計儚い存在に見えてくる
つか、守りたいとか大切にしたいとか、俺、律のこと好きじゃない……よな?
いや、男だぞ律は。
精々いって友達だ。
でも、律に抱きつかれた左腕は眠る彼の温度で少し温かくなっていてそれを可愛いと思ってしまうのも事実だった
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