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うとうとしていた律を起こしてベッドに向かわせたのが2時間前。
つい先程、魘されて苦しそうに目を覚した
「もう寝れない」
そう言って夜食を食べ始めた姿をソファで半分寝ながら見守る
こんな薄明かりでも器用にキッチンまで歩いてテーブルの前に座る
「紘」
振り向きもせず、小さな声で呼ばれた。
呼ばれたのか独り言なのかも分からないくらいの元気の無さだ。
いつもなら「俺が起きてんのにお前が寝んな」って不機嫌さをばら撒かれるのに今日は静かだ。
凄く落ち込んでいるような感じ。
しゅんとして、疲れているような印象を受ける。
「………なんか俺さぁ、もう無理かも…」
いつもと声のトーンが違くてどうしたのかとソファに横になっていた体を起し、テーブルの前で俯く律の隣に座った
一番弱いオレンジ色の電気では表情が分からない。
でも、こいつ結構やばいんじゃないかって、直感的に思った。
背中を撫でてやろうと思い、そっと触れればビクッと震えたのが分かって、それだけでも神経がかなり敏感になっているという事が分かる
驚かせないようにそっと律の名前を呼ぶと聞こえているのか聞こえていないのか、更に体を丸めてぎゅっと小さくなってしまった
あやすように頭を優しく撫でる
「どうしたー?」
こんなに小さくて頼りない背中にそんなに色々何を背負っているのだろう。
髪の間から少しだけ見える表情は辛そうで、俺まで気持ちが弱るような気がした
律が一度だけ見せてくれた綺麗な笑顔。
あれをもう1回見たいと思った。
辛そうな表情をしている分、余計にそう思うのだろうけど。
こんなに追い詰められている人を笑顔にするっていうのは簡単なことじゃない。それでも、笑った顔が見たいと思ってしまった
その為の協力ならする。
俺も怜のこと言えねーな…こんなに必死になってさ。
笑ってもらいたいのも本音だけど、本当はこんな辛そうな顔して欲しくないだけなんだろう。
あぁ、ったく。
…いつから、こんなに気になるようになったんだ
もう今更放っておくとか、そんな選択肢は無かった。
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