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「何歌ってくれんの?」
向かい合うように座っているから表情がよく見える
「お前バカにするからやっぱ歌わない」
「否定はしないけど」
「やっぱり。寝起きから腹黒いんだよ」
「酷い言われようだな」
それなのに、怒らないんだ。
紘って特別優しい人って感じもしないのに何だかんだ優しい気がする
口調とか態度がさっぱりしてるし、表情もそんなに変わらないから優しいって印象がつきにくいのだろう
でも振り返ると優しいことしかされてない気がする
今だって俺が足の上から転げ落ちていかないようにさり気なく支えられている
…ああ、何かむず痒いからやめて。
慣れてないんだって。
そういう、大切に扱われるような感覚は。
思ってしまった途端に恥ずかしくなる
気まずさから俯けば「遊んでくれんじゃねーの」と急かされる
遊んでやんねーよ。
もうさっさと寝ろ。
くい、と体を押すが倒れてくれない
「…非力すぎ。」
突き放すはずが逆に、ぎゅ。と抱き寄せられてしまった
…何考えてんのこいつ。
突然抱きしめたりすんな。
もう、もう……なんなの。
「じゃあおやすみ」
そして寝んのかよ
「お、おう」
俺も俺で動揺し過ぎだ
自分だって抱きつきたいとき散々抱きついてきただろ
あれと同じだ。
こんなに焦るのはおかしいだろ
………うん、…こんな動揺するのはおかしいって…。
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