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暫くじっとしていたが、仕事のことを考えていたら不意に泣きたい気分になってきて、それを抑えることもせず泣いていたら自分の意思では抑えられない程に涙が出てきて、更には嗚咽まで。
なんで最近こんな情緒不安定なんだ。
ぎゅっと体を丸める。
…色々疲れた。
仕事行きたくない、人に会いたくない、話したくない、怒られたくない。
「ほら、買ってきたぞ。おにぎりと味噌汁」
「……っ、いらない」
「はあ?…て、何そんな泣いてんの」
ほら、どうした。って無理矢理抱き上げられて膝の上に向かい合うように乗せられる
思わず肩に顔を埋めれば、「どうしたって聞いてるんですけど」と肩から顔を離させられてしまう
手を必死に伸ばしてもう一度引き寄せればもう引き剥がしはされなかった
仕事では仮面を被ってなくてはいけないし、理不尽に怒られても言い返せないし、最近は家でテレビを見ているだけでも泣いてしまうくらいのクソ雑魚メンタルだ。
でもそんな心情を打ち明けられる人なんていない。
……こいつ以外は。
唯一自分を飾らず、適当に、楽にいられるのはこいつの前だけだった。
直ぐに切れる縁だからこそ、1番心を開ける。
そんな訳だからこいつにとって俺はかなりわがままで情緒不安定な訳のわからないやつだろう。
突然キレたり、突然泣いたり、突然甘えたり、突然仕事モードになったり。
こいつの前だと俺は何も気にせずその時の気分で行動してしまうから。
今だって特に理由もなく泣いていたらなんか悪化しているだけだ。
俺がお前の立場だったら絶対に関わりたくないくらいには面倒くさい。
それでも何故か、こいつはその時の俺に合わせてくれる。
どれだけいいやつなんだこいつは。
名前も知らないけど。
「……もう涙止まった。」
だからもういい。と無理矢理膝の上から降りれば「はぁ」とため息を吐かれた
「朝飯は。」
「…何あるの」
「おにぎりと味噌汁」
「…味噌汁だけ飲む」
「はいはい」
いつもなら言い返して来るのに今は何も言い返して来ない。
それはさっきまで俺が嗚咽を漏らすほどの号泣をしていたからだろうか。
もしかしたら気を遣ってくれているのだろうか。よく分からないけど。
「ほら」
「…ありがと」
ちびちびと味噌汁を飲む。
涙で濡れた指先は冷えていて味噌汁の湯気が温かい。それに、昨日から何も腹に入っていなかっただけに美味しい。
「テレビつけていい?」
「…勝手にすれば」
箸にくっついたワカメを食べていたら声をかけられ適当に返す
外国の映画でチャンネルが止まる。
こんなの見たってなんて言ってるか分からないんだから楽しくないだろう。
味噌汁を飲み終え、全く言葉を理解できない映画を30分くらい見ていたが眠くなってきた
椅子により掛かりながら、テレビを見ているふりをして目を閉じた。
次に目が覚めたのは朝日に照らされたときだった
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