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「…うまっ」
目がキラキラしてる。
口いっぱいに頬張ったその表情は朝のリポーターの人よりも美味しそうに見えた
一言しか喋ってないのにここまで美味しいという気持ちが伝えられるのもある意味才能だよな、なんて思う
頼んだものは生しらすと釜揚げしらすが半々で乗っているもの。
上にはネギが散りばめられていた
ほかほかと湯気をたてる白米。
すごく幸せそうな律
……あぁ、何だろう。すげー可愛い。
て、落ち着け自分。
誤魔化す様に食べ始めたしらす丼だったが、驚くほどに美味しかった
食べ終え、店を出る
特に会話もなく少し歩いたところに昔ながらのおもちゃ屋があった。
昭和のアニメに出てくるような、雰囲気のいい味わいのある店。
と、その視界の中に律が入ってくる
気づけば隣には居なくなっていてその店に入っていっていた
追いかける様に中に入れば店員さんと思われるおばあさんが椅子に座っている。
こういう光景も始めて見た。軽く会釈をしてから店内へ入る。
律は奥のぬいぐるみコーナーにいた
「律」
「あ。なぁ見てこれ」
指されたのは小さなもの。
リアルなしらすが再現されたストラップだった
「ちょっと怖えなこれ」
ストラップにちょんちょん、と触れながらクスクスと笑う律
何なのお前。可愛いんだけど。
待て、落ち着け俺。どうしたんだよ。
「なー、次どこ行く?」
そんな俺の気持ちに気づくことなく腕を引っ張りながら聞いてくる
あぁ、もう。
「聞いてんの?」
不服そうな目。
さっきの楽しそうな表情から一転、ものの数秒で不満そうになる表情に思わず笑ってしまいそうになって留めた
「聞いてる。行きたいとこねーの?」
「海近い?」
「近い。」
近くなきゃこんなに海鮮系の店はないだろう。
それに耳をすませば小さく波の音も聞こえる
「海いく」
「まじで言ってる?」
こんな寒い時期に海なんて寒すぎる
ただでさえお互い薄着なのに。
「行くの、行かねーの」
そして何でお前は半ギレ状態なんだよ。
「わかった、行くか」
「おう!」
たちまち上機嫌になった律。
本当に、昼間と夜では印象が違いすぎる。
まぁしていることが違うから印象が違うのは当然といえば当然だが。
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