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「椎名先生」
俺の大嫌いな声。
その声に呼ばれ、職員室から出た隣の教室、普段は会議などで使われている部屋に誘導された
「君、仕事を舐めてるの?」
意味のわからない突然の問いかけに驚く。
「…舐めてないですよ」
「本当に?」
仕事量だって他の職員よりこなしているし、陽の事だってやってる。
授業だって手を抜いた記憶は一度だってないし、服装も、口調も、ちゃんと意識してる。
何がそう思わせたのか。
「いつも言ってるけど、不登校の彼の問題も全く解決しないじゃないか
ほっとけばいいとでも思ってるの?
君はそれでいいかも知れないけど学校側はそうじゃないんだよ。
もっとしっかり取り組んでもらわないと。」
……は。
ほっとけばいいとか、思ってる訳ない。
お前は関わってないから何も分からないだろ。
陽だって保健室登校だったり、放課後の勉強だったりと頑張ってるのに。
『しっかり取り組んでもらわないと』って。
少なくともお前が思ってるより色々考えてるしやってる。
「それと仕事、もっと早くできない?
君が残っているせいで電気代とかかかってるの。わかる?」
「保健室のものを使うのもやめてもらえないかな?君のためじゃなくて生徒の為のものだし」
「授業も声小さいんじゃない?あれ以上声でないの?」
「あとこの前出してたクラス用のお頼り、誤字多かったけど?もっと集中してやってくれないかな」
「クラス持つの初めてだからって他を手抜いていい訳じゃないから。」
「顔がいいからって許されると思ってるんじゃないよ。
他の先生にもちゃんと謝りなさい。迷惑してるよきっと。」
…自分がやれる精一杯はしてるつもりだった。
なのにこんなに全てがダメ出しとか。
「…俺、だって」
「ん?何か言い訳?」
…俺が、悪いの?
思うところはあったがここまで言われると俺の努力は少しも伝わっていなくてむしろ迷惑だと思われていたのだと胸がズキンと痛んだ
最初は心の中で言い返していたが、悔しさから目が潤んだ
「泣けばいいと思ってる?
泣いたところで何も変わらないから」
分かってる。
泣こうとなんて思ってない。
それでもつうっと頬を涙が伝った
涙を耐えるためにぎゅ、と拳を強く握る。
悔しくて、悲しくて、ムカついて、何より教頭の前で泣いてる自分が惨めで、もうその場にいられなかった。
無言で会議室を飛び出すと職員室においてある自分のバッグを掴んで学校を飛び出した
後ろから教頭の怒鳴り声が聞こえたが無視した。
は?
ムカつく。ムカつく。
ボロボロと涙が止まらなくて、それなのに胸は熱くて反論する言葉で溢れていた
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