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でもこれは完全に無自覚でやってるから怖いもんだ。
「んで、この部屋だっけ。
あー、俺の仕事部屋。」
「お仕事って何してるの??」
「小説家」
「…入ってもいい?」
「どーぞ。」
今俺の部屋はまだ片付いてるから大丈夫だろう。でも本ばかりの部屋だ。退屈しないだろうか…。
部屋に入った瞬間南は『わぁ』と声を上げた。
本が好きなのだろう。この後本をたくさん持っていこうと密かに思っていると南はある本を指さした。
「この『きたや』って人の本がいっぱいここに置いてあるんだね。」
「それ俺が書いた本だからね。」
南はびっくりしたように大きい目をさらに大きくしていた。
大丈夫かそんなに目を見開いて。
目は落っこちないだろうか。
なんて馬鹿な考えをしてるとおず…と南は手を差し出した。
「?」
「あ、あの。
僕、きたや先生のファンで、握手してもらってもいいですか…?」
こいつは敬語を使えたのか。
おぉ、と感心していると南は何を勘違いしたのか『調子に乗ってごめんなさい、ここにいさせてもらってるだけでも有難いのに。』と少し涙目に俯きながら言っていた。
南は何でそんなに自分を責めるんだろうか。
いつかその理由が分かればいいなと俺は思い、ぎゅっと南の少し小さい手を握ったのだった。
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