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「今日から南様はこちらで過ごしていただきます。」
連れてこられたのは窓がない部屋だった。
でも階段を降りてないから地下じゃないってことは分かる。
初めて見る場所。
そこにはトイレ、お風呂、ベッドなど、いろいろなものがある。
この部屋から出るなってことなのかな。
「食事の時だけは私達が持ってきます。
それでは、決してここから出ないように。」
パタリと扉が閉まる。
横に目をやると本棚にびっしりと本が詰まっていた。
暇つぶしにはいいかもしれない。
『キタヤ』って人が書いた本を取る。
この話の主人公は、学校から帰ってきたら両親が殺されていたという。
主人公はパニックで記憶喪失になるが、以前仲良くしていた友達と関わって記憶を思い出す。
それから犯人を探すという話だった。
読み進めていくと、ある言葉に目を奪われた。
それは主人公の友達の言葉だった。
『お前はひとりじゃないんだ。
辛いなら辛いって言え!
助けて欲しかったら助けてって叫べ!
そしたら、俺が喜んで手を差し伸べるからさ。』
いいな…
この子には、頼れる人がいる。
僕にもそんな人がいたらいいのに…
「辛い…」
ポソリと呟く。
どうせ誰も反応はしない。
そう、思ってたのに………
「辛いんだね、南。
優しい優しい千聖お兄ちゃんが慰めに来たよ。」
そこには、ニコニコ笑ってるちさ兄の姿があった。
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